グッバイ、クレメンス (ページ17)

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1話新学年ページ17

新学期が、始まる

季節は、少し肌寒い春になる

「星華、起きないと遅刻するぞ」

『ん〜』

「ほら、早く起きろ」

バサリと無遠慮に布団を剥ぎ取ってきたお兄ちゃんに『あと、5分…』とむにゃむにゃ言いながら言うと「その5分、さっきも聞いたぞ」と返された

仕方なくモゾモゾと起き上がり、ベッドから降りてリビングへと向かうと、トーストにかじりついている海都がいた

「姉ちゃん、おはよう」

『おはよう、海都…』

「早く食べろよ、星華」

『うん…』

寝ぼけながらも自分の椅子に座ってお兄ちゃんが出してくれた朝ごはんに手をつける
カリカリに焼き上がったトーストにかじりつき、もごもごと口を動かしていると、朝のニュースが流れ始める

《7割方蒸発した月についてですが…》

朝からというか、3月ごろからもちきりの話題のニュースは飽きることなくここ最近毎日流している
なんていったって、あの月が蒸発して三日月になったのだ

「にしても、なんで爆発なんてしたんだろうな」

「それを今学者たちが下がってるんだろ」

「ふぅん」

細かいことは報道されておらず、ただどうして蒸発したのか、どうしてこんなことになったのか、宇宙の謎だのなんだのとはやしたてては、次の話題へと乗り移っていく

ー学校ー

椚ヶ丘中学校には、本校舎と旧校舎がある
そんな旧校舎は山の中にあり、私たちE組は険しい山道を歩いてそこへと登校する

木造の平家校舎には、ある程度の学校の設備は整っているがそのどれもがボロ臭くて敵わない
机と椅子も、少しだけボロい

そんな椅子に座って、ゴーグルをつけ、手には勉強するためのペンと消しゴムではなく、ゴム製のナイフと銃を握る

ペタン、ペタンという裸足で歩いている音が聞こえるがこの音は、人間が出している音ではない

扉を開けて入ってきたのは、大柄の…

「ホームルームを始めます。日直の人は号令を！」

「…き、起立!!」

E組全員が、銃を向ける

「気をつけ!!」

私たちは、殺し屋

「れーーーーーーーーーーーーい!!!!」

大きな号令と共に、銃声は教室に響く