グッバイ、クレメンス (ページ15)

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アッシュside

終業式が終わり、次に会うのは年明けの始業式だったが、今は中華料理屋を営むショーターの家にお邪魔している

「え〜！今の今まで、転校してから星華に声かけてねぇの!? あの天下のアッシュ・リンクスが!!?」

「シン…」

「うるせぇな」

ポテチやらジャンクフード、お菓子の袋をパーティー開けして貪り食うのは、俺たちのひとつ下のショーターの弟として生まれたシン

そして、そんなシンを宥めたのは、俺のもう1人の親友の英二。ちなみに、俺たちのひとつ上の普通校に通う陸上部だ

「まあ、今の星華はフリーっていうより、強固な壁に守られてるって感じだからな」

「あー、赤羽って奴だろ？俺知ってるよ。ここら辺じゃ、不良とかをボコボコにしてる問題児なんだってさ」

「なんでそんな奴と星華が…」

「あいつら、幼馴染なんだよ。星華によると、赤ちゃんの頃からの付き合いなんだって」

「なんでお前が知ってるんだよ」

「俺の情報網は舐めんなよ、アッシュ」

「………」

ドヤ顔で笑っているショーターに俺はジトリと見つめる

俺はこの冬、12月にアメリカからこの日本へと留学という形できた
もちろん、目的は星華を探すため

記憶は物心ついた頃から持っており、もう1人の自分が自分の中にいることは自然と受け入れることができていた
なんとなくだが、今の自分と前の自分は同じ人間なんじゃないかと、幼いながらに理解していた気がする

完全に記憶が戻った時、1番心残りだった星華のことが気になった
あいつについて調べると、アメリカで永住権を取った後、静かに余生を過ごしていったとあった

もちろん、あいつが有名人になることなんてなく、英二のようにカメラマンで1発当てることもなく、静かにニューヨーカーとして生きていた

必死になってアメリカにいるんじゃないかとあらゆる手を使って探したが、どこにも星華の姿はなく、アメリカにはいないことがわかった

だから、あいつの生まれ故郷の日本にいるんじゃないかと思い、探すことにした
ショーターとシンを日本に永住できるように手続きを済ませ、俺はアメリカを、2人には日本をしらみ潰しに探してもらうことにした

平凡な学校に通っていたと言っていたから、今回もその通りに平凡な高校に通っているのではないかと思って探りを入れたが、どこにもいなかった