グッバイ、クレメンス (ページ13)

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星華side

エンドのE組行きが決定した私は、翌日からは汚いものを見るような目を向けられた
それはまだ良かった。問題は、うちの学校にいる人間のことだ

うちの学校には、記憶を持っているであろう人間が少なくとも3人いる

ひとりは、1番頭のいいクラスに転校してきたアスラン・カーレンリースと名乗り、仲間内からはアッシュという愛称で呼ばれる彼

記憶というのも、一世紀半ほど前に遡る

彼とは遠い遠い昔に出会ったことがある
それも、私の前の人生だ。その時の彼は、殺人犯としてアメリカ全土に恐れられていた

でも、そんな彼は恐れられるほどの存在でも何でもない普通の男の子だった

そして、2人目はショーター・ウォン

彼はアッシュの親友で、共に過ごした友達だった
気さくで兄貴肌で、頼り甲斐のある彼だったが、とある薬物により命を落としてしまった

それも、口にしたくないこと

3人目は、保健体育科のマックス・ロボだった
1年生の時に教科を持ってもらった時、普通に驚いたし、マックスもこっちを見て驚いていた
なんとか誤魔化すことはできたけど、絶対怪しんでる

(これから会うこと少なくなるとはいえ、全校集会とかで鉢合わせした時にボロが出そう)

絆創膏を貼っていない反対側の頬をつきながら、窓の外を眺める
A組とB組の合同体育を眺める。もう授業なんて、半分聞いてないようなもん

水色と青色の体操服に身を包み、女子にキャーキャー騒がれているアッシュを眺める
寒い空気の中、白い肌を少し赤くして身を縮こませているアッシュを見て、生きているんだと思う

(あぁ…生きててくれてありがとう)

季節は少しずつ、過ぎていく

「じゃあ、また年明けにね」

『良い年末を〜』

「あははは」

成績表やらなんやら、宿題やらも配られて終業式となった今日は、雪がちらほらと降り始めていた
マフラーとコートを身につけて通学路を歩く

はぁっと吐いた息は白く染まり、空気に溶け込む

『ただいま〜』

「あぁ、おかえり」

『お兄ちゃん、ただいま。帰ってたんだ』

「あぁ。部活も年明けまで休みだからな」