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銃の準備をするアッシュに、私は前に歩いた
「来瞳？」
『ショーター、アッシュのことお願いね』
「え？」
ポン、と彼の肩に手を置いて私はアッシュの横に立つ
『私が囮になる』
「は？」
『今のアッシュが囮になれるとは思えない…私が行く』
「なにを…バカなこと言うな!! お前が行ったって捕まるだけだぞ!!」
『大丈夫』
「！」
『私、逃げ足だけは得意なの』
アッシュの…少し痩せた肩を掴んでケインの方に押し飛ばした
踏ん張りが効かずにケインの方に倒れたアッシュを、ケインが簡単に支えた
『ケイン、アッシュをお願い!!』
「おい、来瞳!!」
「来瞳さん!!」
「来瞳！待て!! 来瞳！戻れ!! 戻れーーーーーッ!!!」
戻らないよ
待たない
私は…キミを守るためなら
「来瞳…行くな…行かないでくれ…」
泥水を跳ね上げながら走り、敵を誘導する
できるだけ、みんなから引き離す
アッシュは弱ってる。アッシュを助けるならこれしか方法がない
だからこそ…
(大丈夫だよ、殺せんせー…死んだりなんかしないから)
アッシュside
「う……」
沈んでいた意識が、浮上する
体が悲鳴をあげている
起きあがろうとしたら、腕が自由に動かなかった
どういうことだ？
そうだ…来瞳が走って行って、追いかけようとしたらケインに殴られてそこで…
(来瞳!!)
背中を見せて走って行った来瞳を思い出し、俺はさらに起きあがろうとしたが、腕の自由が効かなかった
「よぉ、目が覚めたか。ここは俺たちの隠れ家だ」
「ケイン、なんの真似だ？外せ！」
「その身体でどうしようってんだ？骨と皮じゃねぇか
今、英二が飯を作ってる。ちょっと待ってな」
「いいからこれを外せ！」
「……だめだな。俺たちもとうとう首を突っ込んじまった。コルシカマフィアとの全面戦争にな
お前がいなきゃ勝ち目はねぇ。まあ、ゆっくり身体を治すことだな。来瞳は帰ってくる、必ずな」
そう言い残して部屋を出ようとするケインに、俺はバキバキと思い切り力を振り絞り、ロープが繋がれていたランプを引き剥がした
「そこを、どけ!!」
「……ったく、お前や来瞳にゃかなわねーな。で、どうするんだ？」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
