命尽きる、その瞬間まで VI【BANANA FISH】 (ページ7)

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「来瞳、どうしたんだよ。…顔色悪そうだけど、大丈夫かよ」

『……シン』

顔を膝に埋めていた私がゆっくりと顔を持ち上げて声をかけてきた彼に答えた

「どっ、どうしたんだよ!? すっげぇ泣きそうな顔じゃねぇかよっ」

『………』

「来瞳？なあ、大丈夫か？ショーター呼ぶか？」

ワタワタと慌てているシンに首を横に振ってただ下を見つめた
そんな私にシンは何も言わずに隣に座っていてくれた

「なあ、大丈夫かよ」

『…………怖い』

「…怖い？」

『うん…』

キュッと自分の服を掴みながらそう呟いた

『私、絶対に人を傷つけるような人間にはなりたくないって思ってたの…
自分の中にある何かを守るために、誰かを傷つけても構わないなんて、思わないように…そんな人間になりたかった…
なのに、私…アッシュを助けるためなら人を殺しても構わないと思ってた…』

「……」

『私は自分が怖い…醜い人間にだけはなりたくなかったのに…
あんなこと、二度としないって決めたのに…平気でやろうとしてる…私、自分が怖い…目的のために我を忘れて何かしでかしそうで本当に怖い…』

ポロポロと涙が流れ始めたところで、シンが自分の上着を私の頭にバサリとかけてきた

『シン…？』

「あんたはなにも間違っちゃいねぇよ…あんたは大事な友達を守ろうとしただけだ。その結果がそうなったってだけだよ…だから、あんたは何も悪くない…来瞳のその気持ちは、友達を思ってのことで普通なことだよ」

『……』

「俺だって、仲間がもしそうなってたならそういう気持ちになる。あんたは何も間違ってない、なにも。だからそのままでいいんだよ。その気持ちのままでいい」

彼なりの慰め方で、自分よりも年上な私をどう慰めればいいのかわからないままで乱暴に上着を貸してくれて、顔が見えないようにしてくれて

その気遣いが、優しさが

今はたまらなく染み込んでくる

『ありがとう…』

「ん…」

私は、この少ない年数で多くの優しい人と出会うことができた

(もう、なにも望まない…なにも欲しがらない…だから神様…どうかもう少しだけ…もう少しだけみんなと一緒に…)

何もかも終われば、必ず帰るから

自由のない、あの鳥籠に