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あいつらがいてくれたから俺はここまで生きてこれた
だからこそ、もう自分で立って歩いていけるように
「これからどうするんだ？」
「別に。今まで通り「街のダニ」さ」
「…私と一緒に、カリブへ来ないか？」
「…自分の孤独を埋めるために、俺を連れてくのか。らしくないぜ、セルゲイ」
「……そうだな。今のは忘れてくれ」
「…じゃあ、元気で」
「お前も」
そこで、手を差し出し、ブランカと握手した
来瞳side
ぼーーっと、空を見上げながら私は空港の出発ロビーで自分のキャリーに腰掛けながらいた
寒空の分厚い灰色の雲が覆い被さり、青い空は隠れていて雪が降りそうだった
少し離れたところでマックスたちが奥村さんの様子を聞いている
私はそれを遠くの方で眺めて、下を向いた
奥村さんが言ってたけど、シンにアッシュへの手紙を託したと言ってた
その中に航空券を入れたとも
時間的にしてもシンがもう渡してくれてる頃だろう
でも、ここにはいない
(私たちのためを思ってここに来ないのはわかってる。でもそれだと、あんまりに辛すぎる…
アッシュは、それでいいの？奥村さんに会うのはもうこれで最後なのに)
車椅子に乗って笑っている奥村さんを見ながら、アッシュが来るのを待っていたけど…
「来瞳ちゃん、そろそろ行こうか」
『…うん』
アッシュ、タイムオーバーだよ
飛行機の座席についた私たちに、叔父さんが「大丈夫かい」と声をかけてきた
『前に、アッシュと喧嘩した時、私謝ろうとして図書館に行ったの
彼はひっそりとそこにいた…暴力や争いとはまるで無縁そうに、物静かで
でも、孤独だった。例えようのないくらい壮絶な孤独だった』
アッシュ、私はキミの無事な姿が見られないから不安でたまらない
キミは言ったよね
俺たちは住む世界が違う、と
でも本当にそうなのかな
私たちは肌の色も目の色も、生まれた国も全て違う
でも私たちは友達だ。それで十分なんじゃないのかな
私はアメリカに来て本当に良かったと思ってる
いろんな人に出会えた
そして、なによりもキミという人に会えた
キミは何度も私に聞いたね。俺が恐ろしいかと
でも私は、アッシュのことを恐ろしいと思ったことは一度だってない
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
