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セントラルパークのベンチでブランカは本を読んでいた
「アッシュか。よくここがわかったな」
「あんた昔、よくここで本読んでたじゃないか」
あの戦いから数日が経った今日、全てにケリがついて落ち着いた時にブランカが今日発つというので俺は最後に会いに行った
「それよりギャラだ。515ドル75セント、タックスと経費込みだぜ」
「そりゃあどうも…」
「今日発つんだろ？」
「あぁ。シンは月龍様のことを何か言ってなかったか？」
「律儀なことだな。契約済みの相手まで気にかけるなんて。シンは奴を殺せねぇよ、あいつはお人好しだからな。俺と違って」
「………お前なら、あの人をどうする？」
「もちろん八つ裂きにするさ。「敵の息の根は必ず止める事」そう教えたのはあんただ。手加減の仕方なんか教わらなかったんだからな」
「教える必要はないと言われたんでね」
ブランカの言い返しに「でもまぁ」と俺は続けた
「俺はわざわざ出かけてって殺す趣味はねえ。奴が仕掛けてこない限り、知ったこっちゃねぇな。…安心した？」
「あぁ。英二と来瞳さんは明日帰国するそうだ」
「………あんたの言う通りだよ、俺はあいつらにとっては疫病神だ。俺はあいつらの人生に関わっちゃいけない人間なんだ
それがよくわかった。いや、前からわかってたんだ。それを認めたくなかったんだろうな……我ながら情けねえよ
初めて会った時、あいつらは俺がどういう奴か知ってて、それでも俺を恐れたり警戒したりする事が全然なくて…よくわからない下手くそな英語で話しかけてきた
変な奴だと思って、最初は外国人だから言葉がよく通じないせいかと思ったけど…やがてそうじゃないって気がついた」
あったかい空気を纏った英二が
優しい心を持った来瞳が
俺の記憶の中で柔らかく微笑む
「あいつらがそばにいてくれると、あいつらの優しさや誠実さ、あたたかさが…どんどん体に流れ込んできて、俺を満たしてくれるのがわかった
でも俺は、俺の身体は…まるで機械みたいに反応して人を殺し傷つける。何も考えず、何も感じず…これほど自分を恐ろしいと、恥ずかしいと思ったことはない
もう二度と会わない。でも、あいつらは俺の友達だ。たとえ一生会えなくても……想うことぐらい許されるだろう？」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
