81話 別れ ページ27
「来瞳」
『！』
ケインの会話が終わって、夜が明け、また更けた頃…アッシュがキッチンにやってきた
『アッシュ…怪我の具合は？』
「心配するほどでもないさ」
『そっか。……ねえ、アッシュ』
「ん？」
『帰って欲しい？』
「…………」
いきなり切り込めば、アッシュは待ってたのか目を閉じて「正直に言うと、帰らないで欲しい」と言ってくれた
「でも、ここにいても俺は英二と同じようにお前を守れない…だから、安全な日本に帰る方がいいと思う」
『…………キミは本当に残酷な人だね…』
「……」
『わかった、日本に帰る。その方がいいとアッシュが言うなら、その方がいい』
きっとこの帰国でこのアメリカには二度と来れない
『……キミにこれから、素晴らしい未来が来ることを信じてる』
「来瞳…」
『どんなに離れたって、キミは私の自慢の友達だよ』
たとえ二度と会えなくたって、キミという人を私は忘れたりなんかしない
『さよなら、アッシュ』
その言葉を残して、私は廃墟を去った
アッシュside
「なんで行かせたんだよ!! あいつ、月龍に命を狙われてるんだぜ!?」
「…わかってる。けど…」
「…あいつ、なんか消えちまいそうなんだよ…見てるだけで、フラッとどっか行っちゃいそうなのに…
あんたは、行かせて後悔しないのかよ」
「…………」
シンの問いかけに俺は答えることはできなかった
きっと、あいつはもう俺に会うつもりはないのだろう
だから俺も…二度と会わない
もう、会えるかわからない戦いがこれから始まる
だからこそ、俺の心の中にある迷いはできるだけ断ち切っておきたかったから
だから、こうなったことはしかたないことなんだと
思うしかなかった
そして、俺たちは戦った
血も流したし、多くの犠牲も出したけど、それでも…目の前に広がる夜明けはまるで、これからの新しい人生とでもいうように美しかった
翌日の朝から、ニュースは飛び交うようにディノの話題を取り上げまくっていた
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
