命尽きる、その瞬間まで VI【BANANA FISH】 (ページ26)

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アッシュside

「どけ。どかねえと撃つ！」

「行ってどうなる？お前は犯罪者だ。お前との関わりを追求されたら、彼は共犯者にされかねない」

「っ…」

「いつかこうなるとわかっていて、なぜ彼や彼女をそばにおいた？守り通すこともできんくせに
ただ自分の孤独を埋めたくてそばに置いたんだろう！」

「黙れ…」

「2人はお前が救われるために存在しているわけじゃない！」

「黙れーーーーーーッ」

わかってた

わかってたんだ

俺は怒りのままに銃の引き金を引いたが、その弾丸はブランカを掠める程度で、ブランカは怖がることも退くこともせずにその場に立ち続けた

「クソッタレがーーーー！クソッ、クソッ、クソッ！」

何発も撃ち込むが、そのどれもがブランカに当たることはなかった

「ハァ……ハァ……ハァ」

意識が薄れて、俺は銃を取り落としてそのまま倒れた

来瞳side

何発もの銃声が響き渡り、収まった頃にはブランカさんが静かに部屋を出ていた
アッシュは再び手当てをされて眠っていて、その傍らにいることを許されず、私はただキッチンの小さな丸椅子に座っていた

『…………………』

「ここにいたのか、来瞳」

『ケイン』

「アッシュのそばにいなくていいのか？」

『………うん』

考えることも、優先すべきこともわかっているのに

わかっているのに

なんだろう、私今…

『アッシュは？』

「もう目を覚ましてる。…シンがアッシュに決闘を申し込んだ」

『え？』

「裏切り者を出したからだと…」

『………そっか…でも、どうしてそれを私に？』

「知っておいた方がいいと思ったからな…ラオは、それに反対したがシンが追い出したよ」

なにをしたって、変わらないことはわかってる

神様、何度だってお願いをします

アッシュを連れて行かないでください

私の大事な友達なんです

「…来瞳、アッシュのそばにずっといるつもりか？」

『え？』

「俺は、もうここで降りた方がいいと思ってる」

『そんな…』

「事が事だ。こうなっちまったからには、もうやめておいた方がいい…お前だってわかってるだろ」

『…………』

「日本に帰って平穏な暮らしを送るといい」

日本に帰っても、私は何もできない
あの虚無の中生きるのだろう…