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古びた建物の前に救急車が赤灯を光らせて止まっていた
ストレッチャーに乗せられた意識のない奥村さんが救急隊に連れて行かれる中、アッシュは酷く取り乱した様子で救急車に乗り込もうとした
「離れろ」
『ブランカさん』
「お前は行くんじゃない。わかってるはずだぞ」
「うるさい！」
奥村さんの元に駆け出すアッシュの腕をブランカさんがつかみ、「来瞳さん、乗るんだ」と私の背中を押した
「放せッ！」
『で、でも…』
「こいつのことは心配なく。彼を頼むよ」
『……………でも、私…』
アッシュのそばを離れるなんて…それにアッシュだって怪我してるし…
『……ジェシカ、私の代わりに行ってほしい』
「来瞳…」
『お願い…そばにいるって約束したから』
「来瞳…」
ジェシカは少し間を置いてから「わかったわ」と救急車に飛び乗って行った
「英二!! 英二ーー！」
救急車が走り去って行き、暴れているアッシュにブランカさんは手刀を入れた
そのまま眠るように気を失ったアッシュを、ブランカさんは抱えて廃墟の中へと入って行った
アジトの一室を借りてアッシュの傷の手当てをブランカさんがする
医者じゃないのに妙に手際がいいのは置いて、気絶したアッシュをベッドに寝かせて傷口にガーゼを貼った
「これなら、なんとかなるだろう」
ブランカさんの手当てが終わると、気絶していたアッシュが目を覚ました
「動くんじゃない！」
起きあがろうとするアッシュをブランカさんが強い力で押さえつけると、アッシュはブランカさんを睨んだ
「はなせ……っ！そこを、どけ…」
ブランカさんの懐に手を入れて銃を抜き取ってそれを向けるアッシュは、痛みに耐えて汗を滲ませていた
「アッシュ！」
『アッシュ…』
そんな怪我で動くことなんて、と心配の目線を向けていると「下がって」とブランカさんに少し後ろに押された
「2人だけにしてくれないか」
『…………』
「大丈夫、危害は加えないよ」
『……わかり、ました』
「ありがとう」
ブランカさんの要望通りに部屋を出て行った私たちは、そのまま違う部屋へと移動した
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
