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暗闇だけは本当に怖い
だって、夜は
(ただ、怖い)
パチリと目が開いた
目の前には暗がりが広がってて、それでもどこかだというのは小さな振動が教えてくれたからだろう
(どこ、ここ…？)
痛くて、起き上がれない
いつからだろう…この痛みに、慣れたのは
「来瞳、大丈夫か？」
『…アレックス』
心配そうに私を見ているアレックスに小さな声で言う。掠れた声は大きな声も出ずに蚊の鳴くような声だった
「来瞳…」
『体…痛くて』
「起き上がるな！」
小さな呻き声と共に体を起こし、壁に背中を預けた
『あれから、どうなったの？』
「トラックに乗せられて今は博物館に向かってる」
『博物館…？どうして…』
「そこにアッシュがいるんだよ」
アッシュが、そこに？
トラックが停まり、荷台のドアが開け放たれて男たちにそのまま外へと放り出された
「いってぇ…」
「大丈夫か!?」
『うっ…』
「来瞳！」
荷台から突き飛ばされるように降りて地面にそのまま倒れ込む
「ケイン！引き上げろ！」
(…アッシュ)
ゆっくりと起き上がった私の耳に突き刺されたのは、アッシュの叫ぶ声だった
「早く！「ネズミの廊下」へ行け！」
「…！よし、引き上げるぞ！」
ケインが仲間を引き連れて車に乗り込んで走り去っていく
「そのまま動くな！ブランカ！交渉する気があるなら、海洋生物の部屋にいるぜ！」
月龍を人質に中へと入っていくアッシュに「ここは私にお任せを」とあのブランカさんがそう言った
「月龍様は必ず無事に取り戻します」
『…………』
「一緒に来てもらうよ、来瞳さん」
ーーーーー
ーーー
ー
暗い博物館内を並んで歩きながら、ブランカさんが「肩の傷はもういいの？」と聞いてきた
『え…？』
「すまないことをしたね」
まさか、あの日の…？
アッシュがおかしかったのは、みんなこの男のせい？
アッシュは、この人を知ってるんだ
「生物どころか、これでは墓場だね…」
海洋生物の部屋には、大きなクジラの模型と数体の死体が転がっていた
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
