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来瞳side
『ゔあっ！』
ダン、と力強く壁に吹っ飛ばされた私はそのままズルズルと地面に落ちた
節々が痛くて、とてもじゃないけど起き上がることができない
「散々コケにしやがって、このクソガキが!!」
「まったくだぜ…こいつのおかげで、仲間が何人足をやられたか」
「ちょーっと掠めるように撃ってやったら動けなくなるとはな」
ニマニマと笑う男たちを睨みあげながらいると、「なんだ、その顔は」と不愉快だと言う顔で私の髪を掴んできた
「てめぇみてぇな奴は、アッシュ・リンクスがいなきゃなにもできねぇんだよ」
『っ…』
「来瞳…お前」
『…！』
パシャ、と水が地面に落ちるような音がして目をそちらに向けるとびしょ濡れのアレックスやラオ、シンたちがそこにいた
『みん、な…』
「さっさと並べ！」
「お前ら…来瞳に何をしたんだ！」
「来瞳、大丈夫か!?」
アレックスとシンが言うが、男たちは知らない顔で笑う
「お前ら、月龍の飼い犬だな？同じ中国人を殺しやがって、恥を知れッ」
ガッと思い切りシンの頬が殴られた
「黙れ！裏切り者が!!」
『シン…っ』
「このぉッ！」
その時、ラオがシンを殴った男にタックルをかまして振り返った
「逃げろシン！」
「ラオ…!?」
そのままラオに蹴っ飛ばされたシンは下水の中へと落ちて行った
「貴様…っ！」
『やめて…っ』
なにもできず、立ち上がることすらもできないままの私に、銃口が向けられた
「紅久留米来瞳だな？月龍様がお待ちかねだ」
『月龍が、なによ…』
「はっ…怖いのか？」
『怖い？怖くなんかないわ…自分の力で何かを成し遂げることもできない臆病者を、私が怖がるわけないわ』
「貴様…っ」
『自分の立場を変えようともせず、それに勝手に諦めて絶望してる人間なんか、怖くもなんともないのよ…！』
大事な友達を失う悲しみよりも、大好きな恩師を失う悲しみよりも、怖いことなんて何もない
ひとりぼっちになることよりも
『怯えてビクビクしてるバカを怖がる理由なんて、なにもない』
怖いことなんてなにもない
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
