27話 エースの不機嫌 ページ2
「ふぅん」
(ふぅん？)
明らかに不機嫌になる豪炎寺くんに『なんかあったん？』と聞くが「いや」と首を横に振られた
『豪炎寺くんも病院行く？』
「え？」
『お兄ちゃんが豪炎寺くんに会いたいって』
「お前のお兄さんが？」
『うん』
ー稲妻総合病院ー
『お兄ちゃん、来た…あーっ！また勝手にやってる！』
「うわっ、理英…びっくりするだろ〜」
『先生からも安静にしてろって言われたやん！』
「ご、ごめん…」
ベッドに座ってボールを蹴ってたお兄ちゃんからボールを奪い取って『もー』と睨むと小さくなるお兄ちゃん
『せっかく今日はお客さん連れてきたのに』
「ん？お客さん？」
『うん。豪炎寺修也くん。雷門のサッカー部』
「豪炎寺修也です」
「ああ、キミが！理英と活舞をありがとうね」
「い、いえ…」
『お兄ちゃん、距離感』
いきなり立ち上がって豪炎寺くんの手を取って嬉しそうにするお兄ちゃんに、豪炎寺くんがちょっと引き気味やった
「本当に、ありがとう…」
「え？」
「理英、先生呼んでたんだけど内容聞いてきて」
『えー…』
「お兄ちゃん、足痛いんだ〜」
『…サッカーするからやん。豪炎寺くんに変なことせんといてよ』
「はいはい」
豪炎寺side
「ごめんね。理英がいると、お話ができないから」
「いえ…」
「あ、そこ座ってね。お菓子どれが好き〜？俺、プレーン系のバターたっぷりなのなんだけど」
「あ、いえ…お構いなく」
「いいからいいから！もてなさいと、俺理英に怒られちゃうから」
「あ…じゃあ、これを」
「はいはーい。ビターかぁ…大人…！俺、お子様舌だからこういうのばっかりなんだよね」
受け取ったものは甘さ控えめのもので、個包装をペリペリと剥がしていく
「理英がねぇ」
「はい？」
「サッカーしなくなったのって、俺が事故に遭ったせいだったのは知ってる？」
「はい、教えてもらいました」
「そっかそっか。サッカーやってなかった時期があったみたいで、ちょっと素人臭さは残ってたけど、それでも…サッカーをやっててくれて嬉しかった」
「……」
「サッカーから離れた理英に、もう一度サッカーをさせてくれてありがとう、豪炎寺くん」
「いや…俺は」
「キミのおかげで、理英はサッカーがもっと好きになったと思うよ」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年3月1日 11時
