爆炎の炎の恋歌【豪炎寺修也】 (ページ45)

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12話クッキーページ45

ー金曜日ー

「さぁ、張り切って始めましょう〜！」

「「はーい！」」

金曜日の夜。練習も早めに切り上げて家に帰ってきたら、虎丸くんと活舞がすでにエプロン姿でクッキー作りに気合いをいれとった

「あの子達、張り切っちゃってるわね〜」

『出来上がったクッキー目当てやろうけど…』

生地を練りながら型抜きをする2人に母さんと笑いながら手を進めとると「お姉ちゃんは、誰かに渡したい人とかいるの？」と聞いてくる

『ウチ？』

「うんうん。誰かいないの？気になるな〜って子」

のほほんとした母さんの顔が、ニコニコとほっぺたをちょっとピンクに染めとった
なんや、恋バナしたいんかい

『特におらんかも』

「あらあら〜」

『気になるって人もおらんし』

「お姉ちゃんは、恋をしたら変わっちゃうかもね〜」

『え？』

「きっと出会えるわ。ずっとこの人と一緒にいたいって思える人が」

『…母さん』

「ん〜？」

『鍋吹きこぼれてる』

「あら〜」

火を止めた母さんは「お兄ちゃんはきっと、彼氏できたら許さないかもね〜」と言う

『その時は、母さんが説得してぇな』

「そうね〜。お兄ちゃんは、母さんに頭が上がらないものね〜」

(ブチギレさせて怖がってたもんな…)

アレはあかん

怒られてへんウチと活舞も泣きそうになった

「母さん！型抜きした！」

「はーい」

『………』

虎丸くんたちの方に向かった母さんを見てから、練ってた自分のクッキー生地を見る

気になる人

気になる、やない

せや、これはちゃう

(……………あかん、そうやないわ、阿呆)

ぐにっ、ぐにっ、と生地を練りそれを伸ばして型抜きを始める

星型や四角にして、鉄板にクッキングシートを敷いてその上に置いていく

(気になる人…気になる人)

ほわわーんと自分の頭に思い浮かんだ男の子の顔に、『せやからちゃう！』と叫んだ

「ね、姉ちゃん？」

「どうしたんでしょうか…」

(あら〜！あらあら〜！)

邪念を蹴っ飛ばすように、ウチはそのままクッキーの型抜きを必死に進めた