9-4 ページ38
《ま、2年もやってなかったらさすがに鈍ってんだろ》
『うん…素人からのやり直しや』
《だろうな。お前、俺たちの中で1番うまかったのに》
『ええもん。これからちゃんとやるつもりやし』
《いや、やってもらわねえとこっちが困るわ》
『せやから』
《？》
『ウチが復活するんはもうちょい先になる。晴斗、もうちょっと待っとって』
《…2年待ったんだ。今更、ジタバタするつもりはねぇよ。さっさと復活しやがれ》
期待が混じったその声に、ウチは嬉しくなって『うん』と答えておく
《んじゃ、復活した暁には、雷門と黒陽の練習試合組まねえとな》
『あ、それはお断りします』
《オイコラ!! 散々心配かけさせてといてお断りってどういうことだ！こら！》
『えー…だってウチ、サッカー部入部しとらんもん』
《エーーーーーーッ!!!》
断末魔の悲鳴にも似たようなその叫び声が電話の向こうから聞こえてきて、少し耳から遠ざけた
うるさすぎるわ
《なんでだ！なんでだよ！サッカーやるならサッカー部入部しろよ！》
『いや、ええかなって』
《馬鹿野郎!! 今すぐに入部届を出せ！出さないなら俺が出してやる!!》
『他校生がなに言うてんねん』
電話からギャンギャンと騒ぎ始めるから『もー…切るから』と一方的に切った
『ただの報告だけやのに、なんか疲れた…』
でも…
ただの報告やのに
(こんなに嬉しいんや)
風丸くんに感謝や
ー黒陽学園中等部ー
「へー、理英が」
「本格的にサッカー始めたらしいけど、入部してねえってどういうことだよ」
「確か雷門って、女子部員マネージャーしかいなかったよな〜」
「そりゃ気が引けるわ」
「俺たちの時みたいにバン！て入りゃいいじゃねぇか！」
「馬鹿野郎。俺たちとは入学当時から一緒だったろうが
あいつは転校生。そんないきなり、信頼関係の出来上がったチームに入れて入れてなんて言えるのはオメーだけだよ」
「え、褒めてる!?」
「「褒めてねえよ」」
「でもよかったね。理英がサッカー始めることになって」
「おう！」
「復活するんだな、理英が」
「あぁ！あのシュート、早く見てみてえな〜」
「2年分、取り戻さなきゃいけないからいつになることやら…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年2月16日 8時
