0.1の真実と100の愛6 (ページ6)

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「ここに来てないのお前だけだったからな」

「連れて来れてよかった」

一歩先に進むと「久しぶり」と言う低い声で穏やかな声が聞こえてきた

『……………』

「相変わらず、いつもみたいにヘラヘラしてんだって？」

『……………』

「久しぶり、瑞姫」

片目を閉じてんべっと舌を出しているカルマに、たまらなくなって飛びつきそうになるのを必死に堪えて『うるさいね』と笑う

「今日は全員集合だし、挨拶だけだからね」

『もうみんな大好き〜！』

そんなこんなで終わった近況説明報告会挨拶会

みんな、やること変わってなくて笑った

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ホクホクの表情で事務所に戻ってくると、すでに大翔も帰ってきており、接見の内容をノートを見せて教えてくれた

結婚は6年前で子どもはなし

まずはどうして1人で介護していたのかという問いかけに対して、善之助さんの指名で、昔気質の人で自分の息子たちに介護されるのを嫌がったから

2人の息子も結婚しているのに、交代で見るとかではなかったのかという質問には、手を出すなと言っていたこと
善之助さんの部屋に入るのは、彼女1人に限定していたほど

隆三さんにも施設に入ってもらったらどうかと相談をしたが、我慢して欲しいの一点張り

それで犯行に至ったのかと聞くと、頷かれて一口食べて気に入らなかったのか、彼女に向かって食事をひっくり返して、カッとなって…というのが、彼女の言い分

夕食のメニューは、チキンソテー、サラダ、パン、赤ワイン

それらを一口食べただけで全部ひっくり返し、ワインもと…

『………んー？』

朱色のネクタイ？

あれ？

(オレンジって、朱色って呼ぶんだっけ？)

うーん？と唸っていると「瑞姫、瑞姫」と腕を引かれて『あらら？』とノートを明石さんに押し付けて専門ルームを出た

やってきたのは佐田先生の個室で、「佐田先生」と大翔が声をかけるが、ヘッドフォンをしてCDを聴いてる佐田先生は気づかずに、ハンカチで涙を拭っている

「泣いてる」

ニヤニヤ笑って大翔がヘッドフォンのプラグを抜くと、佐田先生がハッとして顔を上げた

「なんで泣いてんすか？」

「なんだよ、お前！」

「てか、捨ててないじゃん」

『あ』

机の上に、加奈子ちゃんの「そば煮るね」があった

これ聴いてたんだ