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『検察の資料によると、現場には石川さんの血痕が残っていました』

「急に真面目になったな」

『ということは、怪我をするほど被害者に抵抗されて、揉み合いになった可能性が高いんです。そんな状態で刃物で心臓をひと突きするのは不可能だったんじゃないですかね』

「抵抗される前に刺したってこと?」

「だとしら、なんで石川さんの血痕が残ってんだ…」

「今、そういう議論は必要ない。大体、ああいうプレイをやる必要もない!石川さんを無罪に導くためには、彼のアリバイを証明する方が先だろ?」















司法解剖の結果を眺めながら『私にとっては、有罪か無罪かは関係ないんです。知りたいのは事実なので』と椅子に座りながら答えた














「いいか?今回はな、物証が固い上に本人の自白調書もあるんだよ。アリバイを証明することが、依頼人の無罪を勝ち取るための1番の近道だ」

『でもそれだと、全ての事実はわからないです』

「わからなくていいんだよ。自分の興味よりも依頼人の利益を優先しろ!」















佐田先生の主張を聞き、首を傾げると向かい合っていた佐田先生も同じ方向に首を傾げる

















「やっぱり合わないなー」

「そりゃ合わないだろ。俺はお前の中で認めるのはな、あの親父ギャグだけだ」

「あ、親父ギャグは認めてるんですか」

「それはかなわない」

「佐田先生、つまんないですもんね」

「は?俺がつま……俺のも結構面白いじゃん」

「1回も笑ったことないですよ」

「同じぐらいだよ、レベル的には」














ムキになり始めた佐田先生に私は、ふぅと息をひとつついた














「ったく、あの2人…トムとジェリーというか」

「アムロとシャアというか…」

「面白くないですよ」

「笑ってたじゃないか」

「笑ってないですよ」

「笑ってたよ。心は絶対笑ってる」

「心ってなんですか」

「膝と膝というか…」

「全然違うな」



















ーーーーー
ーーー










全員、会議テーブルで3台の防犯カメラの映像を確認し始めた。佐田先生と立花さんは、モニターに映し出された映像をチェックし、明石さんたちパラリーガルはそれぞれのパソコンで再生していた













「人が多い」










防犯カメラの映像はかなり俯瞰で、しかも駅ビル内を行き交う人が多すぎて、石川さんを見つけるには骨が折れそうだ

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時

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