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震える拳を握りながら『言わない』ときっぱりと言う


















唇を震わせて言う私に、カルマは「ホンット、頑固だね」と呆れてため息をついていた



















「まあ、いいか…言いたくないってことなんでしょ?」

『そゆこと。ほらほら、官僚様はさっさと国民のために頑張ってきな』

「はいはい。またね、瑞姫」

『またね、カルマ』















ヒラヒラと手を振って歩いていくカルマを見送る
















「なんで経済産業省の人間が…」

『なんでですかねぇ〜』
















佐田先生の疑問に曖昧に答えながら、カルマが残した言葉を思い出す
高山さんが匂う、一体どういうことなのか…















『とりあえず、今から殺害現場に行ってみます』

「ああ、気をつけてな」














バッグを片手にカルマのあとを追いかけるような形で専門ルームを飛び出した



















ー伊井山公園ー






現場と資料の写真を眺める。被害者が連れ込まれたという入口から、殺害現場となった植え込みまでの距離を歩いて確認する





植え込みから入口の方を振り返り、被害者の中田さんが公園に連れ込まれる様子を思い浮かべる
ニュースでは、外の道を歩いていた中田さんが後ろから来た犯人に公園の中へと引きずり込まれたと言っていた




中田さんは激しく抵抗し、入口付近にバッグが落ちた
男は中田さんを植え込みに連れ込んだところで、刃物を取り出すが抵抗は続いていた




だが、刃物を振り上げて心臓をひと突きにし、殺害した














『………』

「あ?なにやってんだ、白樺」

『ん?』













昼間の公園には似つかわしくない声が聞こえてきて、前方を見ると作業着を着ている吉田がいた
なんだろう、今日はよくE組に会う















『吉田、何してんの?』

「俺は自動車工場に寄ってたんだよ。工具とかそういう類の」

『そういえば、実家の家業継いだんだっけ』

「あぁ、お前は?」

『連続殺人事件の現場だから、見にきた』

「あぁ、あの…石川の」
















なんてことない言い方をする吉田に『…ん?』と言うと、吉田も「ん?」と言い返してきた















『え、石川さん知ってんの?』

「知ってるも何も、さっき行ってたんだよ。石川の勤め先」

『マジ?』

「マジ」

『じゃあ、石川さんとは』

「知り合い」

『マジか…』

「マジ」

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時

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