62話 奇跡の集合 ページ4
ー翌日ー
いやぁ、木村とまさか再会するとは思ってなかった
刑事事件専門ルームの会議テーブルに座りながらテレビを眺め思う
《それでは、次のニュースです。山城鉄道グループの会長、山城善之助さんが殺害された事件で、山城さんの三男の妻、山城皐月容疑者が自首し、その後逮捕されました》
「愛ちゃんかわいいなあ」
「うちの奥さんそっくりなんですよ」
『うるさい』
《皐月容疑者は殺害を認めており、介護に疲れて殺してしまったと話しているようです》
アナウンサーが《では、次のニュースです》と言うので、立花さんがリモコンでテレビを消した
「ちょ、なんで消すの!」
「はい?」
「しっかし、これ、莫大な遺産相続が発生しますね」
「そりまあ山城鉄道グループですからね」
「えー。山城会長は6年前に脳梗塞を患い、右半身に麻痺が残っていました。皐月さんはその介護を1人で担当していたそうです」
「1人でねえ」
立花さんがホワイトボードに書き出した時間の概要を説明し始め、大翔は両耳を引っ張りながらしみじみとつぶやいた
「体の不自由さもあってなのか、山城会長は普段から彼女に強く当たっていました
昼夜を問わない過酷な介護に精神的に参ってしまい、犯行に及んだ…そうです」
「ま、今回の件は長期の介護によるストレスからの衝動的に反応に及んだものだ。酌むべき犯行に至る経緯と事情を訴えて、情状酌量による執行猶予付きの判決を目指そう!」
「はい!」
佐田先生の言葉にメンバーたちが頷く中、「じゃあ僕は接見行ってきます」と言った
「おい深山、今回は本人が自白してるんだぞ
結論がわかりきっていることをいちいち調べなくていい」
「今回の事件の結論ってなんですか?」
「そりゃもう、6年間1人で健気に介護を行った結果が招いた悲劇だよ
それ以外、何もないだろ」
「なるほど。では家族が大勢いるのになぜ1人で介護をしていたのか?なぜだれま手伝わなかったのか?情状酌量を証明する事実を確認に行ってきますね」
ああ言えばこう言うの如く、出ていった大翔にフンと笑いながら見送る
「おい、深山。おい、深山、深山……立花!一緒に行け」
「はい、行ってきます」
「…って、白樺なんでいるの?」
『え?』
「え、じゃない…なんで深山みたいにニヤニヤしてんの!?」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時