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ー数日後ー








皐月さんは、斑目法律事務所の会議室にお礼に来ていた
後ろで一つに結んでいた髪の毛を下ろし、赤いカーディガンを着た皐月さんは、ずいぶんと印象が変わって明るく見える












「本当にありがとうございました」

「よかったですね」

「なぜ、最初から本当のことを話してくださらなかったんですか?」

「功一さんは、一族の後継者として会社を守らなければならない立場にありました
私が罪を被ることで、一族も守れるし、執行猶予がつけば、変わりなく暮らせると思ったんです。浅はかでした」

『………』

「私、一生懸命働いて、なるべく早く弁護料をお支払いします。本当にありがとうござ」

「働かなくても返せますよね?」

「え?」
















大翔が口を開いた












「弁護料」

「何言ってるんだよ?」

「あなたは、料理をひっくり返されたと話した時「ワインも一緒に」とおっしゃいましたよね。でも、絨毯にも服にもシミは残ってなかった
そのことがずっと気になってたんですよ。あなたの本当の狙いは僕たちの疑いの目を、山城一族に向けさせること
あなたは、罪を被るフリをしえ、僕たちが真相に辿り着くのを赤ワインの話をわざわざ出して、巧みに誘導したんです
全ては、山城会長の遺産を手に入れるために」

(………え、マジ?)
















大翔の話を黙って聞いていたら、とんでもないことを言うからギョッとして大翔を見た
















「遺産?そもそも、皐月さんには遺産の相続権はないでしょ?」

「皐月さんには相続権はない。相続権があるのは、3人の兄弟と敬二さんの息子の良典さん、隆三さん
でも、長男の功一さんは殺人を犯し、相続権は無くなるでしょう。そして、敬二さん、隆三さんも、良典さんも、犯人を隠匿したため、同じく相続権は失うことになるでしょう。でも…たった1人だけ遺産を相続できる人がいるんですよ」















皐月さんは大翔を挑戦的に見返した
その顔つきはこれまでの清楚な雰囲気とは違っていた















「あ、お腹の中の赤ちゃん」

「……代襲相続か」

「民法886条、胎児は相続については生まれているものとみなす……」














アッシュの言葉に絶句し、え、まじか…となる
















「皐月さん、あなた、家族全員の遺産の相続権をなくすために…」

「あなたは自分が罪を被ると言って彼らの相続権をなくした。そして、山城会長が持っていたすべての財産を自分の子どもに行くようにし」

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時

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