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「言うよね、言うよね。ていうかこの2人同じ系統よね、これ」
健太兄ちゃんが同意を求めるように2人のことを指差してショーターたちに言うと「全然違うだろ!」と加奈子ちゃんが間髪入れずに否定した
『なんか、この事務所に入ってから賑やかになったような…』
「いいじゃん、静かより」
『そりゃそうだけどさ…』
健太兄ちゃんの嬉しそうな顔になんとも言えずにいると「はい」と目の前に出された皿に視線が向いた
『わあ』
「お〜!」
「深山風 タコとズッキーニの夏のアヒージョ」
『美味しそう〜』
バケットにタコとズッキーニのアヒージョをつけてぱくっと口に含むと、大翔はニヤニヤしながら見てくる
ほわほわ〜と花を飛ばしながら食べていると、戸川さんも手を伸ばしてきたが、その拍子に赤ワインのグラスが明石さんのシャツにかかった
「あーーー!だからもうワイン好きな女は嫌なんだよ!」
「なによ、うるさいなあ」
「シャツにワインは取れないの!」
「じゃあ脱げば」
「1回脱げ」
「お気に入りのシャツなのにーー!」
もぐもぐと動かしていると、口の端からアヒージョのタレが落ちてしまい、ティッシュに手を伸ばそうとしたら、グイッと拭われた
誰だと横を見ると、アヒージョのタレのついた指を舐めていたアッシュがいた
『…………』
「どうした?」
いきなりカウンターを喰らった私は『いや、ありがとう…』と言いながら、ペットボトルに口をつけ水をがぶ飲みした
「瑞姫」
『ん?』
「ワイーン!」
『………は?』
大翔は「アイーン」の真似をしながら親父ギャグをかましてきた
持っていたペットボトルが手から滑り落ちて、ボトンと床に音を立てながら水をトクトクと口から流していた
「5点」
「3点」
『2点』
明石さん、立花さん、私の順に採点をつけるが「可愛い〜」と加奈子ちゃんは通常運転だった
「素晴らしいワインエムシミ〜」
大翔はさらに西城秀樹の「ヤングマン」の替え歌を歌いながら、自分のネクタイを両手で持ってぐっと前に引っ張った
そんな大翔の姿を見て、プロレスラーたちは爆笑、明石さんはしょんぼりして席を立った
「帰るの?おやシミー」
『……はぁ…』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時