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ー瑞姫sideー
敬二さん、良典さん、育江さん、昌子さん、隆三さんが到着し、大翔はストップウォッチを止めた
「1分20秒です。皆さんは事件当時、今のこの状況と全く変わらない状況でした?それは間違いないですか?」
大翔の問いかけに、山城家の人たちはそれぞれの顔を伺いながらも曖昧に頷いていた
「うーん…どうですか?」
「……と、言いますと?」
大翔は善之助さんが食事をしていたテーブルに両手をつき、功一さんの顔を見た
「皆さんはこよ部屋に到着してからなぜ会長に近づいたり、助けを呼んだらしなかったんですかね?
敬二さんと良典さん、お二人は1番最初にこの部屋に着きましたが、何も声をかけなかったんですか?」
「……気が、動転してしまって」
「僕もです」
「育江さんと昌子さん、お二人はこの位置から会長が亡くなっていることに気づきましたか?」
2人「はい」
「状況ですぐにわかりました」
「私もそうです」
「なのに、なにもしなかった?」
大翔が尋ねると、2人は黙り込む
「ふーん、そうですか。わかりました。ご協力、ありがとうございました」
ーその夜ー
スマホをいじる時間ももったいない中、おにぎりを食べながらみんなが撮ったビデオを見た
《皐月が親父の朱色のネクタイを手に、呆然と立ち尽くしていたんです》
《皐月ちゃんが、親父の朱色のネクタイを手に、呆然と立ち尽くしていました》
《皐月ちゃんが、親父の朱色のネクタイを手に、呆然と立ち尽くしていました》
《皐月おばさんが、おじいちゃんの朱色のネクタイを手に、呆然と立ち尽くしていました》
《皐月さんが、お義父様の朱色のネクタイを手に、呆然と立ち尽くしていました》
隆三さん、功一さん、敬二さん、良典さん、昌子さんとまったく同じ発言が繰り返され、功一さんと敬二さんに関しては一言一句変わらない
まるで、人が変わっているだけで同じ内容を見ているような気がしてならない
育江さんの発言も同じなため、証言の途中でリモコンの停止ボタンを押した
「全員が朱色のネクタイって証言したよね?」
「うん」
「普段、朱色っていう?あれ「オレンジ色」だよね」
「世間一般的にはな」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年12月27日 10時