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トーンの涙を指で拭うと、僕はベッドによじのぼった
『アッシュ、この子は僕の故郷の友達の』
「トーンだよ。よろしくね」
にっこりと笑うトーンに「アッシュだ」と簡単に自己紹介をしたアッシュに、僕は少し微笑むとトーンは「そんなことより！」と両手を腰に当てて頬を膨らませていた
「なんで骨にヒビが入るような怪我をしてるの？私、知らないんだけど」
『いや〜！僕もまさかこんなことになるとは思ってなくって〜』
「はぁ…ティティーが知ったらなんて言うか…オールもフィートも」
『…うん』
僕がほんの少しだけ眉を落として笑うと、トーンは少しだけ唇をへの字にして「はぁ」とため息を吐いた
「まあ、いいわ。ねぇ、それより歌を歌わない？」
『いいよ…病室だし、ここ』
「歌？」
『トーンは歌姫なんだよ』
「…トーン…トーンって、あの歌姫の？」
『うん』
「あんたが…」
「なに？私が歌姫に見えないって言うの？私はれっきとした歌姫トーン!! 歌でみんなを幸せにする女よ！」
『はいはい』
「あーーっ！信じてない！」
『そりゃあね〜』
僕がないないと手を振っていれば、「やれるんだから！」とぷんっとしている
『大体、トーンが歌姫なのは全世界に知られてるわけで、僕と一緒にいると危ないんだよ？』
「なによ。友達にも会っちゃいけないなんて意味わかんない」
『いやだから、友達だとしても僕とトーンの関係を知ったらあいつらは黙ってないでしょ』
「私をエサにするって言うの？」
『実際そうじゃん…』
「ムカつく！あいつら…！」
ダン！と床を蹴るトーンに「アッシュも思うよね！」と無茶なことを言い始めた
『トーン、アッシュは知らないんだよ』
「え!? あんなに有名なのに!?」
『僕が言ってないだけなんだ』
「…へぇ…知らない人なんているんだ…まるで情報操作ね。お父さんに頼んじゃう？」
『いやいや』
「えーーー。頼めばいいじゃん」
『無理無理。さすがのテハロでも無理だよ』
「そんなことないじゃん」
『そんなことあるの』
トーンはわかってない
僕の存在がどれほど世界に影響を与えるのか
「………テハロなら、助けてくれるよ」
『その気持ちだけ受け取っておくよ。それに僕は』
「？」
『絶対、何者にも屈しないから』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年9月5日 11時
