20話 夜逃げ！ ページ41
「レジーナ〜!!!」
『ん？』
「なぁなぁ！今、フィートがでっけぇカブトムシ捕まえたんだ!! 一緒に見に行こう!!」
『カブトムシって…もう…オールは本当に虫取り好きだな〜』
「おう!!!」
ニカッと笑って走って行ってしまう弟を見て、ああ…これは夢だと自覚する
記憶の中と寸分変わりない弟の笑顔を見て、鼻の奥がツンと痛くなって追いかける
「ん？お、レジーナ！」
『フィート、カブトムシ捕まえたの？』
「あぁ！こいつは今までの中でもデッカいんだ」
「なぁなぁ、フィート!! ルーイにも見せに行こう!!」
「あぁ！レジーナ、行くぞ!!」
『うん』
あぁ…会いたい
会いたいよ…
「レジーナ？」
『……………』
「大丈夫か？ずっと泣いてるから心配したよ」
『……………あ、れ』
ホロホロと目から涙が溢れ出している
英二くんに言われるまで気づかずにいた僕は、目元をすくってみたら本当に涙が流れていることに気づいた
「何か悲しい夢でも見たの？」
『…ううん、とても…楽しい懐かしい夢』
「そっか…」
『…………ねぇ、英二くん』
「？」
『2度と会えない人と会うためには、どうすればいいのかな…』
「え？」
『………僕ね、弟とお兄ちゃんがいたんだ…とっても大好きなきょうだい…だけどね、もう会えないんだ…
すごく会いたい…会いたくてたまらないんだ…夢に出てきてくれるんだ…ずっと笑ってて』
英二くんに聞かせたくない言葉がどんどん溢れ出てくる
涙のようにポロポロと
『2度と会えないなんて…いやだよ…』
「レジーナ…」
膝を抱えて、泣き声を押し殺すようにして泣いた
震えている体を英二くんが優しく撫でてくれる。その温かさと優しさがとても心地よくて、僕には縁遠いもので、とても…安らげた
『ごめんね、急に』
「全然構わないよ。辛い時は誰にだってあるし、苦しいこともあるんだ。生きているとね」
『…そうだね』
僕の弟は僕よりも２つ下、兄はひとつ上。ルーイもひとつ上
弟1人、兄2人、妹1人、少しおかしいきょうだいが、僕は心地よかった
「レジーナの弟くんやお兄さんって、どんな人なの？」
『うーん、弟はすっごいヤンチャ。僕の言うことなんて聞かないんだ。お兄ちゃんは優しいけど厳しい人だったよ
ルーイはすっごい優しいお兄ちゃん』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年9月5日 11時
