18話 出所したらしいぜ ページ30
数日が経った今日、チャイナタウンのショーターの家に泊まらせてもらっているのも、アッシュのアパートに戻るには少し危険だと判断したため
貸してもらった雑誌を読んでボーッと待っていると「レジーナ！」とショーターが転がり込む勢いで部屋に入ってきた
ここはショーターの部屋だから別にノックとかの必要はない
『どうしたの？』
「アッシュが出所した！」
『えっ!?』
「あと、チャーリーの車を奪って逃走中だ!!」
『いきなり逃亡してる!!』
誰から教えてもらったのかと聞けば、李家と言われて『えーーーーーーーーー!!!!!!?』と雑誌を放り投げて叫んだ
『と、とにかく！アッシュが行きそうなところに行こう！』
「多分だが、俺に会いにくるはずだ」
『そうだね…親友に会いにいくのが定石か…』
「あとは、お前の所在を聞くには俺に聞いた方が早いからな」
『なんで？』
「なんでって…そりゃあ、お前」
『？』
「いや、なんでもねぇ」
何か言いたげだったショーターに僕はそれ以上が聞かずにいた
なんだか、聞いちゃいけないような内容だと思ったから
『ねぇ、ショーター。アッシュが来るならどの辺り？予想はついてるの？』
「あぁ、まあな」
『さすがだね〜』
「いやあ〜っ！」
褒めるとでれっと鼻の下を伸ばしたショーターの後を追いかけて歩くと、「っと、ここだ」と立ち止まった
曲がり角の先を曲がることなく立ち止まり、数人、アッシュの仲間とショーターの仲間を後ろに控えさせた
『敵？僕がやっつけようか？』
「いいや？」
フッと笑ったショーターがクイッと親指で曲がり角の先を指差す
ソーって覗き込むと、アッシュと英二くんがいた
飛び出していきそうになったのをグッと堪えて見ていると、曲がり角で曲がってきた男と会話をしてから鳩尾に深く蹴りをめり込ませ、関節を決めて馬乗りになっている
「な？心配いらないだろ？」
『アッシュにやられると、初めて相手に同情するよ…』
「俺はお前にやられてる相手を見ると激しく同情するぜ」
力ずくで顔を上げさせるアッシュのもとに「そっから先は、俺たちが引き受けるぜ」もショーターが出ていくから僕もついていく
「訛っちゃいなかったな、お帰り。待ってたぜ、アッシュ」
『お帰り、アッシュ』
僕もひょっこりとショーターの背中から顔を出せば、アッシュは翡翠の瞳を少しだけ光らせた
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年9月5日 11時
