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「てかお前、何しにきたんだ？用件があるんなら早く話してくれよ」
「山下さんは2回刺したと言っていましたが、検死の結果は5回なんです」
「感情的になっていたから、記憶も曖昧なんだろう」
「2回と5回じゃ大きな違いがありますよ。それに刺し傷は、お腹だけに集中して背中にまで達していたものまであった…これは正当防衛を主張するにあたって大きな問題です。もし5回刺したんだったら、山下さんが被害者を積極的に殺そうとした、と判断されるかもしれません」
確かに…2回と5回では違う。5回も刺しておいて2回しか刺していないと言われても、裁判官は殺すつもりがあったという見方をするだろう
いくら正当防衛を主張しても、これは大きな問題だ
「山下さんと被害者は初対面なんだぞ。そんな人間がなんで被害者に殺意を持つんだ？」
「それと、被害者の木内さんが持っていたはずの現金の封筒も無くなってたんですよね」
「山下さんの所持品からそんな封筒は見つかっていない。だから検察も強盗はつけないで殺人罪だけで起訴したんだよ」
「なら、どこ行ったんですかね？封筒は」
大翔の言葉に佐田先生はため息をついた
足元に擦り寄ってきた犬を撫でていると「とにかく」と大翔がリュックを背負い始めた
「もうちょっと調べてみます。瑞姫、行こう」
『あ、うん。朝からお邪魔しました』
小さく頭を下げて玄関に向かい、佐田先生の家を後にすると一旦、いとこんちに戻ることにした
お風呂を済ませて仮眠のために部屋のベッドで横になっていると「瑞姫」と大翔が入ってくる
『ん？』
「僕もう行くけど」
『…え、寝てないでしょ？徹夜してたのに』
「うん。だから瑞姫は寝てていいからね」
『でも』
「いいから、ちゃんと休んで」
『……わかった』
有無を言わせないそんな視線に頷くしかできなかった私に、大翔は「僕もちゃんと休むから」とだけ言って部屋を出て行き、いとこんちを出ていった
2、3時間の仮眠だけで済まそうとすると、その日一日を泥のように眠ることになってしまった
起きたら次の日の朝で驚いたけど、今日は日曜。大翔もさすがに家に戻ってきてると思って部屋に入ると「おはよう」と大翔がラフな服を着ていた
『おはよう。何か収穫はあった？』
「うん。昨日、事件の夜に喧嘩をした居酒屋に行ってみた」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年2月9日 10時
