0.1の真実と100の愛2 (ページ43)

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「なのに、自分が病気で死ぬってわかった途端、最後にあの子に会いたい…会って謝りたいという気持ちが抑えられなくなって…それで養護施設に問い合わせたんです
そしたら、こんな事件を起こしたって聞いて…果歩を助けてあげたいんです。せめて最後くらいは親らしいことをしてあげたいんです」

母親の本心を聞いて、黙って見つめていると無遠慮に「ということは、果歩さんのことはほとんど知らないってことですよね？」と大翔が聞いた

「…はい」

「うん、わかりました」

大翔はそのままノートとペンをしまうと病室を出て行き、私は小さく頭を下げて大翔の後を追いかけた

病院の外まで来ると「大丈夫？」と聞かれて少し反応が遅れて頷いた
大翔は「ほんとに？」と覗き込んでくるのに何と答えようかと目を泳がすと「ちょっと！」と立花さんが追いかけてきた

「あんな言い方ないでしょ。身勝手な親だけど、今は助けてあげたいって思っているわけだし」

「今1番調べたいことはなに？」

「いろいろ調べるべきことはあるけど、まずは金の出所だと思うよ」

立花さんの言葉に大翔が立ち止まると、立花さんも慌てて立ち止まって振り返る

「検察は説明がつかない1000万は盗んだ金だと決めつけてる。何でそう思えるんだろうね？」

『……………』

「主任はどうします？」

問いかけられた立花さんは無意識に大翔から目を逸らすと「今日は帰ります。必要な時は呼んでください」と言い残して私の腕を掴んでスタスタと歩いていく

『どこ行くの？』

「川口建設」

大翔は言葉通りに川口建設に向かった。建物は古く、社員は10人もいない
どこの街にもある小さな建設会社といった風だった

川口建設の川口さんと剛田さんに話を聞くことになり、事務所内を見ると果歩さんの机が片付けており荷物も段ボール箱に詰められているようだった

大翔は金庫を見せてもらうよう頼み、問題の金庫を一緒に見た。テンキータイプの暗証番号を押して開ける金庫だった

「うーん、なるほど」

『この金庫を開けられたのは、社長の川口さんと専務の剛田さんと、経理を担当していた吉田さんの3人だけ…ということですか？』

「はい」

頷いたのは社長の川口さんだ

「現金がなくなったのはいつ気づいたんですか？」

「出張の日の翌日です」