0.1の真実と100の愛2 (ページ37)

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俺は幼い頃からなんでもできた。勉強もスポーツだってなんだって
特別だと囃し立てられ、もてはやされて、俺はそこで何かが足りないと思った

心の中を埋め尽くしていた温かい何かがポッカリと穴を開けたようにするりと落ちているようなそんな感覚
兄と同じ優しさを持つ人を知っている。幼いながらにそんなことを思うようになった

7歳の頃、俺は学校から帰っていつも通り勉強をしていたら「それ面白いの？」と見知らぬ女の声に振り返って「うん」も答えた

だけどそこには誰もいない上に、母親の声でもなかった
7歳でそんな体験をして怖さが勝り、兄の布団に潜り込んで眠ることを決意した

その晩、俺は兄に一緒に寝たいと言ってベッドの中に潜り込むと「アスラン、どうして泣きそうなの？」と聞かれた
泣きそう？俺が？兄の言葉に首を傾げていると、「アッシュ」と優しい声が聞こえてきた

兄に「呼んだ？」と聞くと首を横に振られた
幻聴か何かなのか、幼い俺はそれが愛した女の声だとは知らなかった

その次の日、俺は学校から帰ってまた同じように勉強をして自分の部屋で眠ることにした
あの不思議な声が聞こえなかったからだ。勉強のしすぎかと思っていたけどそうじゃなかった

魂を分けた愛する女の声だった

その晩、俺は夢を見た。幼い自分がベッドに投げ出されて、自分の体の何倍もある男に組み敷かれた地獄絵図を

俺はこの光景を知っている、というよりも体験したことがあると肌で感じた
目の前で行われているその行為を見て、俺は第三者の視点から見ているのに震えが止まらなかった

視点が変わって、少し成長した自分がいた
10歳くらいの子どもが何人もの大人に行為を強要されている地獄絵図

その中には自分もいる。何人もの男に、組み敷かれているのを見てもうやめてくれと叫びたくなった

また視点は変わる

今度はもっと成長して14歳だった。その頃から、もう俺は目の前にいるのは自分であることと、これが自分の中に眠る魂の記憶なのだと理解していた

銃を持ち、勉学に励み、知識を吸収し、金のためにマフィアのボスの相手をして…そして人を殺して、親友と出会って…14歳にしてストリートキッズの仲間になっていた

そうだ、憶えてる。知ってる、これは俺の前の人生だ

成長した男、俺が17になった頃、運命的な出会いがあった