15話 根が深い ページ15
静岡から東京に戻り、刑事事件専門ルームに戻ってくると、もう終業時間はとっくに過ぎていた
自分の机に荷物を置いて椅子に座ってぐーっと伸びをすると「お疲れ様」とオックンがコーヒーを淹れてくれた
『ありがとうございます』
それを受け取ってズズズ…と飲んでいると「あれ？」と大翔が荷物の中をゴソゴソと探している
何を探しているのか見ていると「僕のスマホ知らない？」と聞いてきて私もカバンの中を探すが、大翔のスマホはない
首を横に振ると「どこ置いたっけ？」と首を傾げている
アッシュは「かけてみればいいだろ」とネクタイを緩めながら言うと「自分の番号知らないし」と言った
「瑞姫、かけてよ」
『しょうがないな』
スマホを取り出して大翔の電話番号をタップし『はい、どうぞ』と手渡すと「ありがとう」とにっこりと笑ってスマホを耳に当てている
すると、大翔のスマホの着信音が聞こえてきたけどこの部屋からではなかった
「どこ？」
「？」
オックンとシンがキョロキョロとしていると、「お、出た。誰ですか？」と大翔が電話に出た相手に声をかけた
「俺だ。今すぐ戻れと言っただろう？何やってんだ？」
「話聞いてただけですよ。ほら、依頼人の利益になるかならないか知りたくて」
「余計な詮索はお願いだからしないでくれよ…って、電話はもういいだろ！」
佐田先生が大翔のスマホで電話をしながら現れると、「佐田先生」とアッシュが割って入った
「これは余計なことではありませんでした」
「なんだよ？」
「木内さんが強 姦した相手、山下さんの婚約者だったんです」
「これで山下さんが木内さんに対して怨恨があったことがわかりました。ということは、どんな状況であれ殺意があったと認識されるかもしれない」
アッシュの後に大翔が続いて言うと、立花さんも続いて言う
「彼が復讐のために計画的犯行に及んだ…と言う可能性も出てきましたね」
「正当防衛だったのは嘘だってことか？」
「かもしれない」
「それと、その強 姦事件の犯人は木内さん以外にもう1人いたみたいなんです」
「本人がそう証言したのですが、警察が動かず、挙句暴行時に撮られた写真で、弁護士に脅されたそうです。示談にするようにって」
「私、今から接見に行って山下さんに確認してきます」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年2月9日 10時
