元殺し屋はヒーローになる29 (ページ47)

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「ええと、じゃあ…オール・フォー・ワンと死柄木を引き離すために、まず荼毘を引き離して…」

「荼毘だけじゃないな」

「そう。“全て”です
敵主力全てを分断し、各個撃破。そのためには敵を誘き寄せることが条件！」

オールマイトのその言葉に、刑事たちは眉根を寄せた

「しかし、そりゃ少し能天気すぎやしませんか」

「できたら苦労はしない」

「えぇ。ですから、この条件(・・)を成立せるために作戦が必要なのです」

「青山か」

「…まだ、動揺しているよ…“無個性”に生まれ……人生を使われた(・・・・)少年…」

「同情はするが、社会(われわれ)と自分達を秤にかけ、社会(われわれ)を捨てた事実は変わらん
立場上、俺は慎重にならざるを得ないな」

「私は信じたい、青山少年を。そして信じる、その担任相澤消太を」

『私も信じます。だって、青山のおかげで常闇が合宿の時に助かったのも、仮免の時にみんなを助けたのも、事実だ
その行動全てが嘘だったなんて言わせません。あいつは雄英のヒーロー科1年A組、私たちの仲間です。友が泣いているのに、明日を笑い進むことなんてできません』

苦しんでいる青山の顔を見たことがあるから

いつの日か、鏡に映った自分の顔だったから

『私は、青山を…信じます』

相澤side

「検査の結果、彼の中に異常は見られなかった。脳波なども問題ない」

「レディ・ナガンの件も、オールマイトに倒されてから獲得されたモノというわけか」

拘束されている青山との対面で、検査結果を聞きながら真正面にガラス越しに見える青山をじっと見た

考えてみれば、裏切りに対し強制爆破なんて能力を植え付けていたなら、“見せしめの殺人”、“嘘をつけば殺す”など、わざわざ余白を残す脅しは必要ない

だからオール・フォー・ワンは植え付けてた…

恐怖という種を、この子に、この子の両親に

そして同じように、あの子にも…

「恐いか？」

「(ﾋﾞｸ」

「あぁも言ってくれる友人なんて、一生に何人も出来ないぞ。何が恐い？オール・フォー・ワンが恐いか？」

体を揺らして下を向いて青くなる顔に俺は、以前の青山ではないことを悟る

「はい…。そして…僕は彼らのようにキラめけない。それが恐い」