元殺し屋はヒーローになる29 (ページ37)

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「んで…」

『３つ目、火蓋を切るタイミングは悔しいにも向こうが握ってる
キャシーお母さんとの戦いで“個性”「サーチ」が消えたとしても、恐らく後手は必至
だからこその今のヤケクソ人海戦術なんだ…アイツはいつまでも人を嘲笑い続ける…
キャシーと戦った時だって、笑ってた』

「だからせめて出方を…動きを誘導できるように、早速僕と青子さんも捜索に出る」

「僕たち(・・)、だろ」

ガスッと頭を飯田に殴られた緑谷は小さく申し訳なさそうに微笑んだ

「そうだ、それで言うと…出歩いていいんだよね？」

「ある程度は。麗日くんの演説を受けてヒーロー科と避難民の接触も緩和されたからな」

「………結局、追い詰めても追い詰めても、オール・フォー・ワンは笑ってんのな…」

『だからこそ、今度は笑顔でなんか終わらせない
次は吠え面かかせて地べたに這いつくばらせてキャシーお母さんの綺麗な顔に傷つけたこと、土下座させながら蹴って殴ってやるんだ…』

「俺、あの雨の日に大泣きしてた夜神月可愛いと思ったけど、やっぱ夜神月は夜神月だな」

「戻ってきて磨きがさらにかかったな」

上鳴の言葉に同意しながら周りを見た

『あれ、葉隠ちゃんは？』

「青山くん探しに行ったんとちゃうかな…さっき、トイレ行くってまだ戻ってきてへんから」

『しゃーね…探してくるか…緑谷も行く？』

「うん」

もっさりアフロ頭を戻した緑谷とともに、葉隠ちゃんと青山を探しに出た

ー森の中ー

葉隠side

群牙・蛇腔戦が終わった頃から元気がなかった

それはみんなもそうだったけど

「やるしかないのよ。…あの人が再び“指示”を出してきた」

「大丈夫…これまで通り、傍受されていても民間の日常に取れるよう、暗号化してあるわ
ここなら監視の死角になるんでしょ…!? 大丈夫よ」

緑谷くんと青子ちゃんが戻ってきてからキミは、笑顔を見せなかったから

心配で

「神野まで…ちゃんとオール・フォー・ワンの言う通りできたじゃない！やらなきゃ私たちが殺されてしまうの！優雅！」

そこにいたのは、泣いている青山くんと青山くんのお母さんとお父さんだった

「入学間もない頃、うまくあの人の要望に応えたじゃない!!
合宿でも誰にもバレずに居場所を教えられたじゃない」

「ママン…パパン…でも…僕…！」