ラブはゼロ、ゼロは II【ラブオールプレー】

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司波くんは予想通り善戦
春日くんは先輩相手に一勝









「予想通り、遊佐さん、横川さん、水嶋くんに松田くん…3戦全勝で順調に勝ち進んでいますね」

「上位はこの4人で決まりかな」












21-14



水嶋くんと小林くんの試合は水嶋くんの勝利に終わり、悔しそうな顔をする小林くんと、屈託なく手応えを喜ぶ水嶋くん










(なんだろ…なんか、怖い)











どっちの表情も、いいことで、素晴らしいことなのに





胸がザワザワと落ち着かなかった











次の試合は、松田くんと田村くんの試合で、ショートラリーが続いていたところで、なんでもないショットで松田くんがミスをした









「松田、ドンマイ！」











榊くんが声をかけるも、その後のラリーでもなんでもない場面で松田くんの返球はサイドラインを大きく割ってしまう










「松田、調子が出てないのか？」

『……………』

「？」













横川くんの声を聞くよりも、動揺の色が見える松田くんの方が気になって仕方なかった

















ーーーーー
ーーー
ー





『花ちゃん、先帰っちゃってね〜！戸締まりは私がしちゃうから！』

「はーい！」











お疲れ様でした！と元気よく挨拶をして出て行く花ちゃんを見送って、ネクタイをしっかりと締めた















『…………はぁ』











3年生の焦り、松田くんの不調













(なんだか、大変なことになる気がしてきた…)











パチン、と更衣室の電気を消してドアを閉めて鍵をかけて職員室に向かう
鍵を返して正門の方へと歩いていくと、「桐崎〜！」と後ろから横川くんの声が聞こえて振り返った












「今帰りだよな？途中まで一緒に帰ろうぜ」

『うん。賢ちゃんは？』

「遊佐ならトイレだよ」

『じゃ、待ってようか』

「あぁ」












正門で横川くんと賢ちゃんが戻ってくるのを待っていると「そういえば」と横川くんがとんでもないことを言い出す













「桐崎、留学するんだってな〜」

『!!!? よ、横川くん!? だ、誰から聞いたの!?』

「うちのクラスの女子」

『そ、それ賢ちゃん知ってる!?』

「いーや？知らないと思うよ。あいつ、その時いなかったし」











心臓がありえないほどに動き始め『絶対言わないでね！絶対！』と横川くんのブレザーを掴む











「なんで言わないんだ？」

『そ…それは』

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