24-2 ページ27
『ね？上手くいったでしょ？』
「き、桐崎さん…」
『抜重って言うのは、文字通り瞬間的に足にかけている体重を抜くの
膝を曲げ伸ばしして地面を“蹴る”んじゃなくて、一瞬宙に浮き上がるようにして沈み込んで、落ちようとする力…つまり、転ぼうとする力を重力を利用して素早く移動するステップなの』
「すごい…」
『さっき水嶋くんがやってたのは、地面を蹴ってスタートしてたこと。地面を蹴ってスタートすると、体全体が起き上がって蹴る動作でスタートも遅くなった
だから右足を外して重心移動を利用するんだよ』
「あ…！」
どうやら理解できたらしい
『水嶋くんはそろそろ、足に頼るプレーから足を活かすプレーに切り替えた方がいいかも。次の高みを目指すために』
「………ありがとうございます！田村さん、もう1回お願いします！」
『田村くん』
「あぁ」
頷いてノックを上げてくれた田村くん
水嶋くんはさっきの抜重ステップで速く球に追いつき、逆サイドの球にも余裕で追いついた
効率よく動けるようにもなるから、持久戦でもっともっと粘れる
「桐崎さんはどうやら、選手一人一人の悩みを見抜く才能があるようですね」
「………人をよく見てますから、あいつ」
「桐崎さんとなにかありましたか？」
「え？」
「先ほどから視線を送っていますから」
「あ、いえ！何もないです！」
「そうですか？なにかあるなら必ず話し合ってくださいね。キミ達が喧嘩をしている姿は、あまり見たくありませんからね」
「…はい」
今日の部活も終わって更衣室で服を着替えていると「桐崎さん」と花ちゃんが声をかけてきた
『んー？』
「桐崎さんって、バドはしないんですか？」
『んーー…趣味程度でいいかな〜って落ち着いたの』
「怪我とかでできなくなったってわけでもないんですよね？」
『…うん』
パタン、とロッカーを閉めて振り返った
『中学の時にね、男女混合のシングルスがあったの。そこで、私…初めて負けたの…男の子に』
「え」
『賢ちゃんとダブルスで勝った相手だったんだけど、負けちゃったの…準決勝で、勝てば賢ちゃんと決勝で戦えたんだけど…負けちゃったの
それからコートに立つのが怖くなっちゃって…ずっと勝ってた私が負けたことで、少なからず賢ちゃんは私のこと軽蔑したかなって思ったら、怖くてラケット持てなくなったの』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 128人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミホ(プロフ) - 続きを…読みたいです。2人がくっつくとこを見たい…(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (3月7日 23時) (
レス) @page48 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
リサ(プロフ) - 続き待ってます！ (3月2日 9時) (レス) @page48 id: a9b99ba3cf (このIDを非表示/違反報告)
ｷﾉｺ - 続き読みたいです！更新して下さると嬉しいです。待ってます！ (6月21日 3時) (レス) @page48 id: ba043a6765 (このIDを非表示/違反報告)
ラズリ - 続きが読みたいです｡ゆっくりでいいのでまた更新してほしいです (2023年1月14日 2時) (レス) id: c77d87d099 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと - すごく面白いと思いました！自分のペースでいいので、更新がんばってください！ (2022年11月13日 9時) (レス) @page32 id: 4774474826 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年8月28日 11時
