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23話 山 ページ22

遊佐side










1年のメンバーを連れて榊の店に行くことになった俺、横川と1年










「遊佐さん、なんで怒ってるんですか?」

「あぁ…さっき、桐崎も誘ったんだけど進路指導の先生に呼び出されてな…後から行くって言ってるのにごねたんだ」

(ごねた…)












テーブルの上にはエビフライやハンバーグ、オムライスにポテトサラダが並べられており、そのまま自分が頼んだ料理を口に運ぶ










「…で、話ってなんですか?まさか、ホントに飯食いに来ただけじゃないですよね?」

「ああ、山の話をちょっとな…」

「山?」

「全国には、まだお前たちが見たことのない高い山があってな。それを俺たちは国体で実感したから、ちょっと話しておこうと思ってな」

「法城と埼玉ふたば以外にですか?」












榊が聞くと「ああ」と横川が頷いた












「まずは北海道の名門、旭川商大付属高校。ここは今アジア系のエリート留学生の獲得に力を入れている」

「あれ?北海道って、確か横川部長の出身地ですよね」

「ああ、まあ…」

「えっ、横川さん、道産子なんですか?」

「なのになんで浜っ子?」

「今関係ないだろ、それ」











きつい顔で遮るように言うと、俺に感謝の眼差しを向けてくる











「……それからもう一校、忘れてならないのが関西の古豪、滋賀の比良山高校」

「比良山?」

「比良山には、岬省吾がいる」

「…………」












カラン、とスプーンが皿に当たった














「岬省吾は、幼少期に熊本で天才少年の名をほしいままにしていたが、中学で神奈川に引っ越したのが運の尽き。遊佐と桐崎の卒業までの2年間、個人戦優勝から遠ざかった男だ」

「え、桐崎さんも?」

「男女混合ダブルスで当たったんだよ。そこで岬省吾はコテンパンに負かしたんだが…」

「?」

「………シングルスで、雪都はそいつに負けた」

「えっ!?」













今でも覚えてる。あの時の試合は













「皮肉ですね。天才の引っ越した先に、超天才が…しかも2人もいたなんて」

「だから、滋賀に逃げたのかもしれない。遊佐と桐崎のいない場所に。ある意味、誰より打倒遊佐に執念を燃やす厄介な人物だ」

「どこに逃げようが、歯向ってこようが、コートで向き合えば叩き潰すだけだが…まあ」

「「?」」

「アイツのあんな顔は、もう2度と見たくない」











俺に嫌われるんじゃないかという、あの絶望にも似たあの顔だけは、もう2度と。

23-2→←22-2



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ミホ(プロフ) - 続きを…読みたいです。2人がくっつくとこを見たい…(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (3月7日 23時) (レス) @page48 id: 9767c8e410 (このIDを非表示/違反報告)
リサ(プロフ) - 続き待ってます! (3月2日 9時) (レス) @page48 id: a9b99ba3cf (このIDを非表示/違反報告)
キノコ - 続き読みたいです!更新して下さると嬉しいです。待ってます! (6月21日 3時) (レス) @page48 id: ba043a6765 (このIDを非表示/違反報告)
ラズリ - 続きが読みたいです。ゆっくりでいいのでまた更新してほしいです (2023年1月14日 2時) (レス) id: c77d87d099 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと - すごく面白いと思いました!自分のペースでいいので、更新がんばってください! (2022年11月13日 9時) (レス) @page32 id: 4774474826 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年8月28日 11時

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