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「あ"〜〜〜〜っ!!!」
カクーンと顎を外したブルックは悲鳴をあげ、フランキーとロビンが振り返る
わらわらと出現した黒い絨毯。それが虫の群れだとわかった時、目を見開く
軍隊アリだ
数百万の群れで大地を行軍し、虫も獣もあらゆる生命を分け隔てなく食らい突き進む最強のバタリオンだ
湖上の一本道を埋め尽くした黒い群れが、さぁっとドミノ倒しのように迫ってくる
もはや観念したブルックだったが、軍隊アリはブルックなど見向きもせずに素通りしていく
「あれ？」
「ちっ…狙いは、こっちかよ！」
フランキーが身構えて左手首に仕込まれた砲口を向けた
「フランキー。あなた、
「うぉっ!! そーだった！」
ロビンに指摘されてげっと顔を歪めたフランキーの横から、ドォンと激しい水柱が立ち上がった
水面をたたいて跳ね上がったのは、淡水性のバクザメだ
舞い上がったバクザメは滑空しつつフランキーたちに襲いかかってくる
挟み撃ちになった3人だったが、軍隊アリがぴたりと進軍を止めて一斉に上を向いた
本能のままに軍隊アリの群れは思いがけないジャンプ力で跳んだ
空中から獲物に襲い掛かろうとしたバクザメはその端から端までを綺麗に食べられ、骨ばかりとなった
バシャンと水音を立てて落ちたバクザメの骨に「あ、一緒…」と自身の姿と同じなのにブルックがつぶやいた
「お二人とも、ご無事で！」
「おめェが全く狙われなかった理由がわかったぜ」
「え？」
音楽家ブルックは御年88歳
50年ばかり彼はこうした死体の姿で過ごしていた
「おめェには、食える身がねェもんな」
「あー」
納得が数秒してから、ブルックはムッとした
「ちょっと、失礼じゃないですかーっ!!」
ステッキの仕込み刀を抜くと、ブルックは軍隊アリに向かって走り出した
軍隊アリはその奥にいるロビンとフランキーに向かって進軍していき、ブルックには目もくれず…
3振りされ、湖面が小さく波打つとブルックはそのままコツコツと歩いて行き、軍隊アリに背を向けたまま立ち止まる
フランキーとロビンも襲い掛かろうとする軍隊アリなど気にせずに歩いていく
「鼻唄三丁…“矢筈斬り”!!!」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年8月10日 12時
