元殺し屋はヒーローから海賊へ【STRONG WORLD】 (ページ11)

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『早くここから出して』

キッと睨みつけながら言う青子に「ジハハハハ！」とシキは笑い飛ばすばかりだった

「気の強い娘だ。そういう女は、嫌いじゃねェ」

『…………』

やたらに大物風を吹かせるこのシキが、青子は嫌いだった
話にならないといった顔でペタペタと歩く

ﾌﾞｯﾋﾞｯﾌﾞｰ！

「てめェのオナラはどうにかなんねェのか、Dr.インディゴ！」

歩くたびにオナラがブーブー鳴る
落ち着きのないピエロ男をシキが怒鳴りつけると、ぴたりと立ち止まったインディゴは身振り手振りのパントマイムで意思を伝えようとする

「なにが言いてェんだ」

「そういえば、お見せしたいものが」

「喋るんかい!!!」

ピエロ男男の傍らでゴリラ男、スカーレットがウホウホと笑う

「お母さん(・・・・)!?」

「ゴリラだろ、どう見ても!!」

「「はい!!!」」

自己満足に笑いを取ろうとする男たちに『こっち見んなや…』と…共に学生時代を切磋琢磨し合った仲の爆豪のような口調になる

「氷のようだぜ、ベィビ〜ちゃん。ジハハハハハ！」

ガラス壁の外は白く、雪がちらつき始めていた
常夏のリゾートビーチのようにデザインされた温室プールの外は冬島に建てられた和風の宮殿だった

(どうしてあの時…)

窓ガラスに手を当てて小さく拳を作って額を当てる

温かい温室のはずなのに、どうしてか心の中が冷たく感じる

(ルフィ…)

弟は今、どこにいるのだろうか

空の群島の名前はメルヴィユ

麦わらの一味が季節がモザイクのように入り乱れるこの地を訪れたなりゆきは…少し時を遡ることになる

ー1週間前ー

サウザンドサニー号が青い海を進む中、ヘリに腕をかけて海を眺めていた私の耳に、ルフィの声が届いた

「東の海(イーストブルー)で、なんだって？」

『…？』

ルフィが読みもしない新聞を手にとった

「“襲いかかる脅威！突如、消えゆく街の謎”…東の海(イーストブルー)で、一夜にして次々と街が滅びているみたい」

新聞は奇妙な事件を伝えていた
一夜にして街が崩壊してしまうという記事
何者かが襲ったのか、いかにして破壊されたのか、謎だという