7話 計略の海 ページ29
パタン、という扉の音で目が覚めた
シャオと呼ばれていた女の子が「ばあちゃん！お母さん！大ニュース!!」と叫びながら中に入ってきた
ナミもアッシュもぐっすりと眠っており、私はその会話に耳を傾けた
「なんだって!?」
「ホントだよ!! シュウちゃんとこのお父さんが帰ってきたの！お父さんとお姉ちゃんにまた会えるんだよ！」
「本当かい？夢じゃないんだろうね…」
「てことは…」
「そう！やっとシキがメルヴィユを出て行くんだって！恐い動物もみんな連れて…計略の海へ!!
総毛立った
喜びいっぱいの表情をするシャオの口から出てきた恐ろしい言葉
シキの目指す場所は、計略の海…
そうだ…今まであいつは…私たちが
そして、私が仲間になれば聞いてやれる頼みもあると
吐き気がして、手を口元に当てて、毛布の下から震える拳を握った
「ここにきて、生きる望みが持てるなんて…夢のようだよ」
「ホントに…1分1秒でも早く、
嬉しそうにする3人にただグラグラと揺れる自分の視界を我慢した
『ルフィ…!!』
早く伝えなきゃ…早く、早く
毛布を落としてそのまま家を出た
家の前で休んでいたはずのみんながおらず、裏に回ってみると「来るな、青子！」とルフィが背中を向けながら言った
夕日で空が真っ赤になったそんな空に、金色の髪の毛を靡かせた男が浮いていた
「ベィビーちゃん、見っけ♪」
『シキ…!!』
「つれねェじゃねェか、ベィビーちゃん。黙って逃げ出すなんて…傷ついたぜ、おれァ……」
「黙れクソ野郎…!! 青子ちゃんとおれたちにした仕打ち、何倍にもして返させてもらうからな」
「ジハハハハハ…!! 威勢のいいこった。そこまでいい女、奪われたくなけりゃしっかり守れ。もっとも…その女の方が、すでに、おれから離れられなくなってると思うがな」
『っ……』
「そうだろ、ベィビーちゃん？」
ねちっこい言葉でそう言うシキに唇を噛み締めた
「てめェ……!!」
「おい、舵輪！」
『！』
「おれの家族に手ェ出して、無事でいられると思うなよ」
「ほう、どうする気だ？」
「ぶん殴る!!!」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年8月10日 12時
