俺たちが子どもでいられたあの夏の日 VI【BANANA FISH】 (ページ47)

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75話さよなら、愛しいキミページ47

「冗談じゃありません!! 彼は日本人だ!!! そちらの人間ではない!!!」

机を叩いた烏間は、今すぐに藤澤叶兎の身柄を日本政府に明け渡すように要求するも、それは跳ね飛ばされてしまう
それから数分後、叶兎からのメールで知ったのは、彼が無事であること、もう決めたこと、そして…これからは1人でするという決意と関わるなと言う遠回しな言葉だった

これは、叶兎が病院に搬送された…2週間後の話である

ー叶兎目覚めー

『全身、痛ェ…』

「だろうな。2週間も寝てたんだから」

『……秀都は？』

「お前が渡したのを使ってちゃんと田舎暮らししてやがるよ。ったく、裏切りだろ？見逃してよかったのかよ」

『いいんだよ。あいつから秀鳴を奪ったことには変わりない』

2週間前、俺は秀都に刺された

アイツの目的は、自分の兄を奪った俺への復讐

秀鳴に成りすまし、俺を殺すことが目的だったのだ

まあ、別にそれは怒っていない

俺が怒っているのは…

『アメリカ政府様は相変わらず暇なんだな…怪我人の俺にすぐに会いにくることができるんだからな』

「減らず口はそこまでにして、全快おめでとう、黒桐叶兎」

『…………』

「さっそくですが、今後のキミへの対応を説明します
キミの住む場所はこちらが用意した場所、退院後はキミはそこに移り住み、連絡も制限させていただきます。期間は、未定です」

『……………』

「そして、裏社会ではキミは死んだ人間として扱わせてもらいます」

『そりゃ都合がいいな…ありがたいことだ』

「それが、キミが犯してきた数多な罪を償うためのものです」

『こいつらはどうなる？』

「同様です」

『………こいつらは、俺の命令で動いていた。罪は俺が被る』

「それは承諾致しかねます」

『チッ』

ほんっと、お国の人間ってなんでこうもお堅いもんかね…
ベッドの上で不貞腐れた俺に「誰か、連絡を取りたい人間はいますか」と聞いてくるのに、ふと脳裏によぎったのは最後に笑顔を見たいと思った2人

「取りますか？」

『…いや、いい…ただし、日本にいる友達と世話になった人には連絡と事情を説明させてくれ』

「わかりました。相手は？」

『国の人間』

「は？」

そこで、ムカつくツラが崩れたので、俺は盛大に腹を抱えて笑ってやった