69話 冷やせ頭 ページ24
『何も本気で蹴り飛ばすことないだろ…』
「気合入れろ、気合。これから弱音吐いてられないだろ」
『いやそうだけど…』
ビリビリとするケツを押さえながら6番埠頭に向かえば、シンとケインが先に入っている
中が騒がしいので顔だけを覗かせるとケイン、シンたちの仲間が言い争っているのが聞こえる
『俺今この中を入る勇気ないんだけど…』
「んなこと言ってる場合かよ…」
言い合いがヒートアップしたその時「暇そうだな」と言う声が聞こえてくる
「……好きにしろ。ただしこれ以上、邪魔をするな」
(……アッシュ)
アッシュのたった一言で熱が冷めきったのを見届けて、中に入ると「叶兎」とシンが駆け寄ってくるのに、そのシンの横に立っていた男が俺を睨む
『あいつ、確か…』
「ラオだな…ショーターの」
『あいつが…』
あいつが、ショーターの…
「大丈夫か？」
『あぁ』
「叶兎、いいか？」
『わかった。悪いな、シン』
「あ、いや…」
ラオの横を通り過ぎると憎々しげに俺を睨み、歩いていく
この世界にいるんだ
恨まれても当然だ
『行き先は』
「国立精神衛生センターだったよ」
『やっぱりな…マナーハイムだ』
「どうする」
『捕まったあいつらが心配だな…フォックスがいる』
「……嫌な予感がする」
『……………』
フォックスが、マックスたちに何をするかわかったもんじゃない
マナーハイムがいる…あいつのせいで、ショーターが
「叶兎、俺ちょっと出てくる」
『どこに行くのか知らないけど、気をつけて行けよ』
「あぁ。夕方には戻るよ」
仕立てのいいスーツをまたどこで手に入れたのかわからないが、とりあえず歩いていくのを見送り、俺は仮眠をとることにした
「おい、起きろ。叶兎、叶兎!!」
『ぐっ！』
「お前、最近起きるのひどいぞ」
『なんだよ…まだ1時間も…』
「4時間経ったんだよ」
『……………』
「体内時計狂ってんのか？」
時計を見せられて何も言えずに『んで、なに？』と体を向けると「アッシュが帰ってきたんだよ」と言われる
無言で頷いて部屋を出てアッシュがいるという部屋に入るとジェシカが青ざめてパソコンの画面を見ていた
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年7月28日 9時
