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バサリと新聞を置いてお茶漬けを口の中にかきこむ
(まだ載ってないか…)
一体誰がなんのためにキッパードを殺したのか…
あれは確実にプロの仕事
なぜあの時俺も殺さなかったんだ?
考えれば考えるほど謎が深まっていく
がしがしと頭をかいていると「叶兎、客人だ」と直斗に言われて顔を上げるとそこにはマックスと伊部ちゃんがいた
『Hi』
「叶兎、ちょっといいか?」
『OK』
「おい、どこ行くんだよ」
『子どもにゃ早いところさ。いい子で待ってな、子猫ちゃん』
「んなっ!?」
食べ終えた茶碗と箸を置いて大和から受け取ったジャケットと帽子を身につけてアッシュの頬を撫でてマックスと共に部屋を後にした
「お前、アッシュをからかうなんて…大丈夫か?」
『アイツは俺に甘いからな』
適当に入った店でコーヒーを頼み、マックスからの話を聞くことになっていたが、俺の頭の中にはやはり昨晩のことが離れなかった
「お前のレポートを、精神薬理学の専門家に見せたんだ。えらく感心して…って、おい聞いてるのか?」
『え?…ああ』
ぼんやりとした返事を返すと、店のテレビから高速道路に黒煙が上がる映像が流れた
《145号線で事故が発生し、陸軍大佐トーマス・ホルストック氏が死亡しました》
「こりゃあ、天罰でも下ったかな」
《なお、なぜのこのような事故が起こったのか、原因はまだわかっておらず、当局は捜査を進めています》
『違う…』
「え?」
『事故じゃない』
キッパードを撃った奴とホルストックを殺したのは多分、同じ人間でプロの人間だ
俺は店を出たその足でキッパードを狙撃したであろう廃ビルに向かった
窓からキッパードの宿泊していたホテルを目視し、やはりここから狙ったのだと確信する
「……ここから?」
『キッパードとホルストック、どう考えても偶然じゃない
ホルストックも事故に見せかけたんだ…俺なら絶対にそうする』
だとしても、キッパードの宿泊したホテルの部屋の窓はここから指の爪ほどの大きさにしか見えない
さらに言えば室内にいる人物の額を正確に撃ち抜くには、あまりに距離が遠すぎる
うちのE組の遠距離スナイパーですら難しいであろうこの狙撃をいとも簡単にやり遂げてしまう危険な相手…
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年7月10日 18時