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『よぉ、アッシュ。いい子で待ってたか?』
「売春に行ったオニイチャンよりはね。…怪我したのか?」
『あぁ…ちょっとな、油断しただけだ。イッ!!? てぇぇぇえ!!!? おまっ…!消毒の量バッカじゃねぇの!?』
「うるせぇ!! 手元狂ったんだよ!」
『どうすりゃ手元が狂うんだよ!!!』
「黙ってろ!!」
『お"ぐっ…!?』
消毒液がたっぷりと浸ったらしきものを俺の頬に当ててびしょびしょにしてきた直斗に抗議すると、腹パンを決められた
頬っぺたより腹が痛い
『なんで…こんなことに』
「お前が暴れるからだろ」
腹を押さえながら頬の手当てを受けた。大きめのガーゼが当てられてテープでぺたりと貼り止められた
「で、明日は?」
『とりあえず、現場だな。それ見ないことには、なんとも言えない』
「目星はついてるんだろ?」
『………』
直斗のその問いかけに俺は寝転がりながら『さぁな』と答えて天井を見上げた
『なぁ、直斗』
「ん?」
『俺ってさ…やっぱり、このまま進むべきかな』
「…それが正しいと思うんなら、そうした方がいいんじゃねぇか?
どっちにしろ、止めたってお前は聞かないだろ…それに、そろそろ出るんだろ?表に」
『んー…まぁな。そろそろ出ないとなぁ…親父のこともあるし、それに…片付けなきゃいけないこともあるしな』
天井を見つめてボーッとすると昭輝が「珍しいね」と俺を見る
「叶兎が現場に出るなんて」
『そうかー?』
「そうそう。というか久しぶりなんじゃない?ここ最近、ずっと中で書類仕事ばっかりだったし」
『お前らが書類ばっか持ってくるからだろ…おかげで腕が鈍っちまった』
「嘘つけ…たまに地下の射撃場で撃ってることぐらい知ってるからな」
『なんで知ってるんだよ』
こうやって馬鹿みたいなことを言い合えるこの時間が好きだ
アッシュがいて、みんながいて
この時間が永遠に続けばいいと思う
『さぁて、と…寝るか〜…』
「アッシュを送ってくるよ」
『あぁ、頼む』
「お前、明日ちゃんと起きろよ?」
『ぜ、善処する…』
「生活習慣のリズム整えろ馬鹿野郎」
『俺に怒んなよ…俺の眠気に怒れよ』
「どっちにしろ、気合が足りねえんだよ」
『気合いでどうにかなるかよ』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年7月10日 18時