俺たちが子どもでいられたあの夏の日 IV【BANANA FISH】 (ページ45)

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47話頬の傷ページ45

ｶﾞﾁｬ…

「ん？終わったのか…は、おい、どうしたそれ!?」

『いいから出せ!! 今すぐにここから離れる!!』

「ちょ、待て！そんなことより事情を！一旦落ち着け！ハイになってんだろ！」

『なってねぇから!! 早く出せ!!!』

助手席に乗り込んだ俺に慌てて落ち着くように言ってくる直斗を無視してエンジンをかけてアクセルを踏めと指示を出す

直斗は静かに黙ってゆっくりと言われた通りにして車を走らせた

「……その血、どうしたんだよ…キッパード、殺したのか？」

『殺してねぇよ…死んだんだ…狙撃されて』

「えっ!?」

『屋敷に戻ったら傷の手当てを頼んでいいか？銃弾が頬に掠った』

「んじゃ、傷口にこれ当ててろ。膿んでケロイドになってもいいんなら別だが」

『…ん』

手渡されたハンカチを頬の傷に当てて俺は窓の外を見る
キッパードのニュースは早くても明日の朝には出るだろう。とりあえずもう疲れた…

「叶兎、着いたぞ」

『んー…』

「それと、大和からの報告だがアッシュがお前の帰りを待ってるんだとよ。客間にいるから顔だけ出してやれよ」

『まずシャワー…』

「わーったわーった」

あのまま寝こけた俺を起こした直斗は「ホラ」と引き戸を開けて中に入れてくれた
靴を脱いで廊下をペタペタと歩き『秀鳴は？』とここ最近聞いていない名前を聞くと「奥村くんのところだ」と言われる

「今日、2人で一緒にゲームするんだとよ」

『ふーん…シャワー浴びてくる』

「おう。アッシュは？」

『俺の部屋に通してやる。風呂上がり次第通してくれ』

「あぁ。風呂入りながら寝るんじゃねぇぞ」

『上がって来なかったら様子見に来てくれ』

熱々のシャワーを頭からぶっかかって15分程度が経ち、バスタオルで全身を拭いて浴衣を着てそのままペタペタと自分の部屋に歩いて中に入り、布団の上に寝転がると「あっ、お前！」と部屋に入ってきた直斗がズカズカと歩いて首根っこをつかんでくる

「髪も乾かさずに布団の上に寝転がってんじゃねぇよ!! 昼間干したんだぞ、それ!!」

『怒るなよ、直斗母さん…』

「うるせぇ!! シャキッとしろ！ホラ、手当てするんだろ」

『おう…』

もそもそと起き上がり「連れてきたよ〜」という昭輝の声と共にアッシュが部屋に入ってきた