俺たちが子どもでいられたあの夏の日 IV【BANANA FISH】 (ページ44)

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「貴様のような男娼に脅されて、国を売るとでも思ってるのか！殺したければ殺せ!!」

『出たな、「お国のため」か…。ハッ、それが俺に通じるとでも？』

「っ………」

『てめェが相手にしてるのは、“世界”で、“裏社会”で、その“ドン”だ
逆らう相手、少しは考えてからものを言うんだな』

足を組み直してテーブルに肘をついて頬を預け、銃を持つ手をダラリとさせながらもいつでも引き金を引けるように準備をする

『まぁ、いいぜ？だんまりでも…ただ、こいつはどうだ？』

胸ポケットから取り出した写真をピンッと指で弾いてキッパードの腹にペシンと当てる
ヒラリと落ちた写真を見たキッパードは青ざめ、余裕のある表情を浮かべてキッパードにわかるように嘲笑う

その写真には見るも悍ましいであろうものが写り込んでいる
金髪の少年と思わしき幼い裸体の上に、淫らな行為にふける全裸のキッパードの画像が表示されていた

もちろん、少年の顔にはモザイクをかけてある

「ど、どこでそれを……!?」

『俺の腕をみくびってもらっちゃ困るなぁ…言っただろ？俺は、“ドン”だ…
クラブ・コッドの客は全員写真を撮られてたんだぜ？興奮しすぎて気づかなかったか？
それもそうだよな。あんたは、俺とアッシュをメチャクチャにレイプするのが楽しみだったんだからな…』

「…………っ」

『さぁ、さっきの質問の答えは？』

「そ、れは…つまり…」

その時、音もなくキッパードの額に穴が空いた
俺の頬を掠めたキッパードの頭をぶち抜いたそれは、壁に被弾して大きく穴を開ける

鮮血をあげながら前のめりに倒れ込むキッパードを避けて素早くライトをつかんでコンセントごと引き抜いた

ベッドの影に身を隠して床で息絶えているキッパードを見る

(落ち着け…落ち着くんだ…撃ってくる気配は、ない…)

ドクンドクンと早く動く心臓を落ち着けるように酸素を目一杯に吸い込み、窓の外を見る

近くにビルなんてない
だがかなり離れた場所に並ぶ、いくつか高層ビルはある

そして、弾は強化ガラスを貫通した

それらから考えて推測するべきは…

(あの角度からってことは…あのビルか!? 不可能だ、遠すぎる…！もしあそこから狙撃したのなら、並のプロじゃねぇ…!! 一体、誰が…)

「……いい反応だ。きちんと教えられたことを守っているようだな」