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警備員の口からアッシュの名前が出てきて俺は眉根を寄せた
あいつがここに?なぜ?
「た、頼む…!助けてくれ…」
『…………』
「お、俺には子どもが…っ」
『見えすいた嘘はつかないようにって、パパとママに教わらなかったの?』
「や、やめっ…」
青ざめている男の首に、小型のナイフを当てがう
『俺は、殺さないとは、言ってないだろ?』
ナイフを横一文字に引き裂き、真っ赤な鮮血が床やシーツを汚していく
真っ赤になったシーツを監視カメラにかけていたシーツと替えて警備員の服を脱がして俺の服を着せる
ベッドに乗せて頭までシーツを被せ、監視カメラのシーツを外して部屋を出る
(さて、一応…)
無線機をオンにすると《どうだった?》と聞かれる
多分、俺の様子を見にきた警備員に聞いているのだろう
『あぁ、問題ない。ベッドで静かに眠っていたよ』
《…あぁ、こちらからも確認できた。持ち場に戻れ》
『了解』
近くにあった部屋に入り、染料材があったのに気づき、髪の毛を染めて不自然のない姿で再び部屋を出る
警備室に入り、カードリーダーにIDカードを差し込む
「お疲れー」
『お疲れ様』
交代の時間なのだろう。俺が入ってくると同時に出ていく警備員に声をかけてデスクの前に座ってパソコンをカチカチと操作する
難解なプログラム画面を出し、ガタガタと音が鳴りそうなほどにキーボードを叩き、エンターキーを押した
(早く、早く…!)
デスクトップにポンと設計図が表示され、すぐに漏らすことなく全て記憶する
目的の場所を見つけて俺はすぐにカードキーを抜いてすぐに警備室を後にした
エレベーターで12階まで降りると、警備員が慌ただしく動き始めていた
何事かと思えば、どうやらアッシュが部屋からいなくなっていたらしい
部屋の近くには通風口のようなものがあり、人が通れそうな隙間があった
(この通路に続く部屋は…多分、ここ…)
ドアを開けて中に入ると、ヒュッと俺の耳の横に何かが突き刺さった
チラリと見ると、メスだった
「………叶兎!?」
『し、心臓止まるかと思った…』
ズルズルと座り込んだ俺にアッシュは慌てて駆け寄って「わ、悪い!」としゃがむ
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年7月10日 18時