44話 邪魔者 ページ32
マナーハイムにショーターのことやアレクシス・ドースンのことを説明された俺は、手術室が見れる部屋に連れ込まれた
「準備はどうだ？」
「良好です。実験体の状態も同じく」
誰かが酸素マスクをつけられて手術台に寝かされている
誰なのか分からず身を乗り出すと、銀色の髪の毛が見えてヒュッと吐いた息が戻る
「そう。キミのよく知る、藤澤叶兎だ」
「なんで…てめぇ!!!」
飛びかかろうとした俺に職員が押さえ込んでくる
「彼の脳は実に素晴らしい。キミと同じく、BASテストを行うとIQは210以上…あるいは、それ以上の結果が出た
並大抵の人間の脳ではない」
「だから、バナナフィッシュの実験であいつを使うっていうのか!?」
「その通りだ」
マナーハイムを睨みながら手術台に寝かされている叶兎を見る
頼む、起きてくれ！
お前まで失ったら、俺は…っ！
「い、いけません！今、この部屋は」
「ミ、Mr.黒桐…」
「どういうことか説明しろ。一体何をするつもりだったんだ？」
突然現れた叶兎の父親にマナーハイムは狼狽えながら言い訳がましく説明を始めた
「そ、それは…“B1”の完成に是非とも必要なことなのです！
知能低下を食い止め、純粋なマインドを」
「実験体なら他にいくらでもいる！あの小僧を実験体にすることは、断じて許さん」
怒鳴り散らす叶兎の父親に「騒がしいな、何事で」と俺を連れてきたFBIがやってきた
「これはこれは、急なお帰りで」
「なんだ貴様らは」
「私たちは中央情報局の者です」
「なるほど、キッパードはCIAに顔が利いたな。だが、口を出さないでもらおう」
「ところが、そうもいかないのです。コルシカ財団は、ディノ・ゴルツィネ氏を正式に解任する
後任には男爵アイザック・ザハレフ氏が就任するそうですよ
あなた方は失脚したのです」
「このプロジェクトはこの俺とゴルツィネが作った」
「今は事情が違う。このプロジェクトは一人歩きを始めて、もう誰も引き返せなくなっているのですよ。今更失敗されるようでは困るのだ。手術は中止だ」
「なぜだ！準備は全て整っている。問題が片付いたなら」
「ドクター…あなたもあなただ。許可なくこう言うことをされては困るな」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年7月10日 18時
