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直斗に資料を手渡し、目を閉じて親父が帰ってきた後のことを考え込む
ゴルツィネと親父が帰ってくるのはもうすぐ…もしかすると明日には帰ってくるかもしれない
先に動かれるとアウト
『直斗、全員の動きは?』
「あぁ…マックスと伊部はチャーリーの家、リンクスもアジトにいる。チャイニーズとブラックサバスが拘置所」
『奥村くんは?』
「…それがよ」
『?』
「足取りが掴めなくて」
『…はぁ?どういうことだよ』
眉根を寄せて聞くと、直斗は説明を始める
空港に向かうはずだった彼は、アッシュが決闘をすることを知りコニーアイランドに向かったあと、行方が分からなくなったらしい
それを聞いて『はぁぁぁぁあああ…』と両手で顔を抱えて座り込んだ
「悪い…」
『いや、いい…人ってこんなに思い通りにいかないんだな…』
「人だからな」
ぐしゃぐしゃと髪の毛をかきむしり、スクッと立ち上がる
『とりあえず帰る』
「へいへい」
『あと、キッパード殺す』
「はいはい」
ズンズンと廊下を歩き、地下駐車場に停めてある車に乗り込もうとした時、直斗のスマホがドアを開けるタイミングで鳴り「悪い、秀鳴からだ」と言って少し離れた場所に向かっている
俺はドアを開けて中に乗り込もうとしたら、口元をガッと布で抑えられた
抵抗しようとすると、正面から腕を掴まれて身動きが取れずに息をすると、クラリと視界が揺れた
(や、ば…い)
スゥッと意識が薄れていき、ガクリと項垂れる
「なあ、本当にこいつなのか?」
「あぁ、マナーハイム博士の指示だ」
「まさか、こんな虫も殺さないようなガキがヤクザのボスとはな…」
くぐもって聞こえる声に集中したくても聞こえず、ただ襲いかかってくる眠気に俺は必死に耐える
手指が動かせなくて、声も出せない
近くに直斗がいるはずなのに…
俺の両脇に腕をかけ、足を持って俺を運び出していく
黒のワゴンに乗せられた俺は目隠しと手を何かで拘束された
バン、と閉められた音と共に意識が落ちた
「叶兎!今、連絡があって奥村くんが…あ?」
車が走り出したあと、直斗が戻ってくるとそこには誰もおらず、叶兎のスマホが落ちているだけだった
「…叶兎?」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年7月10日 18時