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「叶兎は、男でもイケるの？」
『………さぁね…女の子を抱いたことがないからわからない』
たった一言
アッシュの唇から震えた声が聞こえる
「…好き」
『ありがとう、俺も好き』
ニッコリ振り返ってそう言ってその場を後にする
襖を開けて自分の部屋に入り、その場にしゃがめば「よかったの？」と昭輝がお茶を飲みながら聞いてくる
『こうしないと、ヤバいだろ…』
「そうでもないと思うけどなぁ…」
『…わかってて、言ってんのか？』
「自分の気持ちに素直になりなよ〜？
そうやって溜め込んで溜め込んで、潰れたことあるでしょ？」
『……………』
「あの頃の姿は、俺は見たくないよ」
『わかってる…』
頭を抱えて俯く
『こんな汚えモンを、アイツに向けるのも、そう感じた自分にも、アイツが嫌がってる気持ちを抱えているのも、嫌なんだよ…』
「叶兎…」
『アイツと………アッシュと、出会うんじゃなかった』
「………それは、彼の前では言ってはいけないよ。たとえ、何があっても絶対に」
『…わかってる。こんなクソみたいな俺に感謝してきた…アイツのあの綺麗な心や気持ちだけは、俺が絶対に汚しちゃいけないんだ…』
「……………」
こんな自分、嫌いだ…
「3年前の恋した子が、まさかあんなにカッコなくなるなんて思いもしないよね〜」
『うっせぇなぁ!!』
「秀鳴とは似てないのにどこが好きになったの？」
『知るかっ!! んなもん、3年前の俺に聞け!!』
「えー」
クスクス笑ってお茶を飲む昭輝は、和菓子をひとつまみして「でも」と俺を見る
「大事なんだよね」
『………友達だからな』
こんなに大切だと思えたのは、秀鳴ぶりだと思う
『…さて、と…そろそろ、準備するか』
「うん。チケットの手配も既に準備済みだよ。あとは当日になるまでだ」
『うーーーん…』
「徹夜で掠め取ろうとするからだよ？相変わらず、生活習慣が逆転してるんだから」
『いいだろ。どうせ高卒はしてるんだし、これから嫌ってほど逆転する』
「ねぇ、叶兎」
『なに？』
「もしもアッシュが本当に叶兎を好きだって言ったら、どうするの？」
顔を上げた俺はわずかに目を見開いた
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年7月10日 18時
