36話 イノセント ページ13
アッシュが泊まりに来て2日経った頃、再びアッシュがやって来た
お前は暇か?
「ハーイ」
『今日はどんな御用で?俺この後、客と会う予定なんだけど』
「用もなきゃ来ちゃダメなのか?」
『お前ぐらいだよ。ポンポン、裏社会のトップの屋敷にズカズカ上がってくるの』
「なんだよ、ダメなのか?友達の家だぜ?」
『肝の据わった兄ちゃんだって、俺の部下の中では持ちきりだよ』
パタンとノートパソコンを閉じると、アッシュは「この写真を見せに来た」と小さな封筒を差し出してきた
サイズからして写真が入るサイズ。俺はそれを受け取って静かに封を開けて中身を確認する
「知ってるよな?」
『知ってるも何も、たまぁの会議で会うからな…』
ペイっと机に放り投げるとアッシュはその封筒を手に取り、「こいつらについて知っていることを教えてほしい」と言ってくる
俺の答えは決まってる
『NO』
一介のストリートギャングのボスのクソガキが、ヤクザのボスと対等な立ち位置に立てると思うな
ニッコリと微笑んで断ると「言うと思ったよ」と肩をすくませて言う
なんだ、わかってて聞いてたのか
『第一、取引相手の俺に聞くか?俺じゃなく、親父だったら消されてたぞ、お前』
「お前が俺を消すわけないからな」
『へぇー?随分と信用されたもんだな、俺も』
洋服ダンスから取り出したカシミアのセーターやジーンズ、あとは伊達メガネを準備した
「どこか出かけるのか?」
『言っただろ。客と会うって』
「俺も」
『ダメ。パンピーが行っていいような場所じゃねぇよ』
ー某所ー
「なぁにがパンピーが行っていいような場所じゃない、だ。モロに俺のいるところじゃねぇか」
『アッシュを黙らすにはその方法しかなかったんだよ』
窓枠に腰掛けてかけていた伊達メガネをクイッと上げた
「それで、今日は何の用だ?」
『これさ』
「?それは?」
『ジャーナリストなら、目玉が飛び出す優れものさ』
ピッと指で弾いてマックスの方に飛ばした
机の上にピタリと止まり、マックスはその写真を見て驚愕する
「ウィリアム・キッパードじゃないか!こんな大物議員が、ゴルツィネのオフィスに!?」
『これを見れば、さらに驚くよ』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年7月10日 18時