21話 チャイニーズボーイズ ページ10
「それにしても、おっきい家だなぁ」
屋敷を見上げてそう言った英二に同意することなく鋭く睨みあげていると、ショーターは門を押した。すると驚き、開いているではないか
「不用心だな」
『……………』
「どうしたの、姉さん？」
『…どうも、気に入らない』
「？」
なんとも言えない気分になりながらいると、「キャーーーーッ」という叫び声が聞こえてきた
「裏の方だ！」
『………タイミングがいいことで』
走り出したアッシュを追いかけるように走り出すと「姉さん！」と慌てた声を上げる英二に『そこにいろ!!』と一喝しておいた
敷地の裏手に回ると、倒れ込んでいる老婆がいた
「だ、誰か…」
「おい大丈夫か!?」
「…ぼ、ぼっちゃまが…さらわれて」
「あっちだ！」
老婆の言葉を最後まで聞く前にアッシュは気配を感じ取っていたらしい
と言っても話し声が聞こえてきてしまっているので、私も気づいたが
「待ちやがれ！」
怪しい男達がいる方向に飛び出したアッシュに、男達は振り返ってすぐに銃を向けて発砲している
アッシュに向けられた銃弾は背後の柵に着弾し「うおっ!?」と驚くマックスが私の後ろに隠れる
そんな情けない男に『ふざけんな』とだけ言ってアッシュの方に向かってケツを蹴飛ばしてやった
「どこ狙ってやがる！こうやって撃つんだよ！」
ガウン、ガウンガウン！という3発の銃弾が被弾し男達の腕や銃、そして肩にクリーンヒットする
舌打ちをして3人の男が一目散に逃げていくのに『待て!!』と言って追いかける
「おい、海斗!! チッ！ショーター、前へ回れ!!」
男達の後を追いかけると、黒塗りのバンに飛び乗ってエンジンをかけて走り去っていく
車のナンバーを覚えたので調べればわかるが、多分盗難だろう
「海斗!!」
『…逃げられた』
「なにもんなんだ？奴ら…」
『さぁな…』
仕方なくアッシュたちのいるところへ戻ると、マックスが誰かを抱えていた
『そいつは？』
「坊っちゃまだよ」
『………どう見ても女だろ』
「海斗、あいつらは」
『あぁ…逃げられた』
「すまねぇ。バンを停めてやがった」
「とにかく中へ運ぼう」
『…………………』
「海斗？」
『………いや、なんでもない』
なんだろうか、この男…
“匂う”…
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
