同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ9)

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『おーばーさん！』

落雷の予感に顔を引き攣らせるマックスの横でジェシカは無言で天を仰ぐ
アッシュは目を丸くして口をパクパクとさせ、英二と伊部さんは怯え、ショーターは下を向いた

「それって、私のこと？」

『他に誰がいるのさ？マスタード取ってくんない？おばさん』

ジェシカの機嫌が最高潮に達した時、マスタードを持ってカツカツと歩み寄りダンッ！とマスタードを目の前に置いてきた

「いいタマね、あんた。あの子のことで私を責めてるつもり？お生憎様。あんたみたいなガキに口出しされるいわれはないわ！」

『ふんっ。いいタマはお互い様じゃねーか』

部屋を出て行ったジェシカにマスタードをたっぷりと絞り出して皿に残ったものを口の中に放り込み水を飲み干した

「ホンットにすまん」

『…どいつもこいつも、親なんていうのはロクな奴がいないな。子どもは親を選んで生まれてくるわけじゃないってこと、わかってるのかよ
ハズレだからって取り替えてくれってわけにはいかないんだからな』

一足先に家を出てスマホを取り出すと、チコが「Pi」とパタパタと羽を動かしている
スマホの画面にはメールが届いており《いつでも》という内容だけだった

『チコ、これをアイツに届けてきてくれるか？』

「Pi！」

『お願いね』

パタパタと懸命に小さな羽を動かして飛び立っていくチコを見送り、タバコを口に咥えて火をつける

母親も、父親も

『クソ喰らえだ』

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どうやらマイケルの誕生日を祝いたいがために寄ったらしい。
つまり、息子のプレゼントを届けるために元嫁と息子の住む家に立ち寄りたかったが、ストレスで吐いたという情けない父親の姿を見せられたということだ

《この辺りのようです！》

目的地まで残りわずかという文字を表示している
ゆっくりと体を起こして走っているトラックから真っ暗闇の住宅街を眺める

「ここか」

《目的地です》

マックスと律の声が同時に聞こえてきて停まったのと同時にトラックから飛び降り、不気味な静けさを持つ住宅街を見回す

「あれ、チコは？」

『お使い頼んだ』

「？」

飛び回っていたチコを探すようにキョロキョロとしている英二にそう答えておき、不気味な屋敷を見上げた